“ガス市場制度改革=都市ガス改革”ではない --- 石川 和男

アゴラ

我々は電気を誰から買うか? 一部の例外を除き、99%以上の需要家は電力会社から買う。電力会社は電気事業法で「一般電気事業者」と呼ばれる。

我々はガスを誰から買うか? 都会では都市ガス、田舎ではプロパンガス(LPガス)、という印象が強い。概ねそんな感じなのだが、全国のガスの需要家のうち、都市ガスが約2890件、団地ガスが約142万件、プロパンガスが約2400万件。都市ガスはガス事業法で「一般ガス事業」、団地ガスはガス事業法で「簡易ガス事業」、プロパンガスは液化石油ガス法で「液化石油ガス販売事業」と呼ばれる。


この一般ガス事業と簡易ガス事業を合わせて「ガス事業」と総称する。反射的に、液化石油ガス販売事業は「ガス事業」ではない。これは、経済産業省内の縦割行政の弊害を被り続けている典型例である。私は両方の法改正に携わったが、全く以て行政上は不合理かつ非効率である。経済産業省は、幼保一元化をできない文部科学省と厚生労働省を批判なんてできやしない。

さて、“電力システム改革”の次はガス市場制度改革だとして、その必要性を説いている経済産業省の資料では、題名が『ガス事業に関する現状と課題』であるのに、簡易ガス事業に関する記載がない。

更に、ガス市場制度改革と言うならば、全需要家の半数程度に上る液化石油ガス販売事業者を対象に含めないのは片肺飛行でしかない。

これは先述の通り、経済産業省内の縦割行政が原因である。過去の経緯などもあって、ガス事業法の所管は資源エネルギー庁の電力・ガス事業部、液化石油ガス法の所管は同じ資源エネルギー庁だが電力・ガス事業部ではなく資源・燃料部。こんな役所組織の縦割事情でガス市場制度改革を論じるのは、そろそろやめるべきだ。二つの部にまたがることをやろうとすると、2人の部長を相手にしなければならないので面倒なのはよくわかる。であれば、エネ庁の長官官房に『ガス市場制度改正審議室』みたいなタコ部屋を作って、長官か次長か審議官の直属でやればいいのではないか。

ちょっと長くなったが、要するに、ガス体エネルギー需給構造の将来を真剣に見据えるのであれば、ガス事業法と液化石油ガス法の2法を束ねて検討していくべきである。ガス市場制度改革で対象にすべきは、都市ガスだけではない。


編集部より:この記事は石川和男氏のブログ「霞が関政策総研ブログ by 石川和男」2013年6月30日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった石川氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は霞が関政策総研ブログ by 石川和男をご覧ください。