参議院選挙告示:日本政治の中核課題を考えてみよう

田村 耕太郎

参議院議員の告示日を迎えた。7月11日に出る私の新刊田村耕太郎の世界を観る目、日本を見る目を読んで選挙に行ってほしい。

この本は私のブログ、コラムそしてメルマガから皆さんとシェアさせていただくに値すると思われるものを選別して大幅に加筆修正したものである。どこからでも気楽に読んでいただける作りにしたので、全体を通した統一感には少し欠ける印象があるかもしれないが、リラックスしてどこから読んでいただければと思う。

この本の前半部分は政治および政治経済をテーマに書かせてもらった。政治学者や政治学者の方々のような切り口ではなく、政治のインサイダーとしての現実的でなまなましい視点で書いてみた。私が見聞きした世界の意見も加えてみた。安倍政権の成長戦略を批判する声は強いが、批判ではなく対案をモットーに、自分なりの成長戦略も考えてみた。

自分で、無所属で政治に挑戦して、数々の選挙を経験し、当選して色んな世代の様々な出自の政治家たちとも忌憚ない悩みや意見の交換をして、「なぜ日本の政治が国益のために効率的に機能しないのか」多くの課題を肌身に感じた。日本の国会議員は馬鹿ではない。むしろ、世界各国の議員たちと交流してきての実感だが、日本の政治家は世界の政治家に比して優秀だとさえ思う。もちろん、個人差は大いにあるが……。少なくとも日本の政治家の多くは「本当の問題は何か? よくわかっている」と思う。

日本の政治が効果的に課題を解決しないのは、政治家の資質の問題もないわけではないが、それよりも構造的な問題が、政治家をして純粋に国益のために働くことを妨げているのだと思う。日本の政治や選挙の中にある悪循環が問題なのだと思う。それについても書いてみた。

憲法を変える議論より、政治の悪循環を断ち切り、国益のために働いけるような良循環を作り出すための議論が大事だと思う。憲法を変えなくても機能する政治は確立可能だと思う。

選挙の時期には色んな情報が流れてくる。われわれ日本人は流れてくる情報を疑う姿勢がまだ足りないように思う。私は常に「疑うこと=思考」、「信じること=思考停止」と言っている。「頑張って努力して勝負するときに自分を信じること」や「長く信頼関係を築き上げてきた相手を信頼すること」は大事だが、溢れる情報をそのまま信じてしまうことはこれからの時代はさらにリスキーだと思う。思考停止だから脳のためにもよくない。忙しくても、論理的思考で情報を疑う癖をつけていただきたい。この本が提供する情報とその背後にあるものの見方には、既存の情報を疑う姿勢を貫いているつもりだ。

後半は世界情勢や世界から見た日本の課題について述べている。この島国には、世界の様々な情報が届くが、偏った立場によって報道・論説されていたり、正確とはいえないものもある。大きく動く国際情勢の背後にある歴史や経済や宗教や文化を理解し、個人の感情や信条を入れずに、論理的に考察してみることが重要である。これを現代版リベラルアーツ思考と勝手に名付け、その手法を使って世界を観てみる。アメリカ、中国、中東、アフリカと日本の生命線となる地域を中心にニュースをピックアップして、斬ってみた。

中でも、日本のそして今後の世界の最大の課題である「少子化および高齢化」について考察を加えた。日本では「少子高齢化」とひとくくりにするがこれは本来別々の課題である。少子化も高齢化も課題である。解決策も考えてみたが、これらの深刻な変化をチャンスにできないかも考えてみた。

情報を疑う姿勢を持ってほしいと言っているのであるから、遠慮なく私の情報のチョイスや分析も疑ってかかってほしい。何が正解かは誰にもわからない。どの時点を選ぶかによっても変わってくる。大事なことは後悔しない決断ができるよう自分の納得いくものの見方を自分の中に持つことだと思う。この本が少しでもその助けになればそれ以上の喜びはない。