社会保障って何?

2013年07月08日 06:30

キャプチャ参議院選挙が始まりました。小学生のみなさんにはまだ関係ありませんが、実はみなさんの知らないうちに、子供に大きな負担を背負わせることが決まっています。しかも、それをどの党も争点にしないのです。

右の図は今年度の国の予算の使い道ですが、社会保障費が31.4%と地方交付税交付金が17.7%です。地方交付税というのは地方自治体の赤字を国が穴埋めするものだから、これも広い意味では所得の再分配です。このように国民から別の国民にお金を移す支出を移転支出といいますが、一般会計の半分が移転支出なのです。1世帯あたりにすると、1年に約100万円のお金をだれかがだれかにあげていることになります。

社会保障というのは年金や医療保険で、これはもらう人にはありがたいものだから、反対する人はいません。しかし小学生のみなさんでもわかると思いますが、年金を払うのは国でも、その国に税金を払うのは国民です。つまりだれかのもらうお金はだれかが払うのです。ところが年金はだれがもらうかわかりやすいのですが、それをだれが払うかはわからない。約6000万人の納税者が薄く広く負担しているので、その痛みがわからないのです。

ある日、税務署の人が来て「あなたは金持ちだから、隣の貧乏な田中さんに100万円あげてください」と言ったら、みなさんのお父さんもお母さんも怒るでしょう。でも「所得税を100万円払ってください」といわれたら払いますよね。でもそれは、日本が100世帯の国だったら、残りの99世帯に1万円ずつ配っているのとほとんど同じなのです。

小学生にもわかるようにいうと、みなさんはバナナの皮などの食べかすを道端に捨てたことがありませんか? たいていあるでしょう。あれは捨てるのは楽だけど、他人に迷惑をかけています。1人が捨てたぐらいでは大したことありませんが、もし日本中でゴミを道端に捨てると、道は汚くて歩けなくなるでしょう。

こういう行動を経済学でただ乗り(フリーライド)といいます。これは数が少なければ大した問題ではないのですが、国民の半分以上がフリーライダーになると、この道のようになってしまいます。日本の社会保障は、それに近づいています。そのゴミに埋もれた道を歩かなければならないのは、小学生のみなさんなのです。

前にもこども版で紹介したように、今の小学生が将来もらえる年金や医療保険は、みなさんの払う税金や社会保険料より5000万円ぐらい少なくなります。そのぶん今のお年寄りが5000万円ぐらい多くもらっているのです。そしてみなさんが働き盛りの2050年には、もらう人の数が払う人の数を上回ります。

つまり日本人の半分以上がフリーライダーになるのです。これはもう社会保障というようなものではなく、政府公認のねずみ講です。ねずみ講は犯罪ですが、政府がやるとだれも止められないのです。このままでは、みなさんが大人になるまでに日本の社会保障が破綻することは確実です。

これが日本の最大の問題ですが、どの党もこれを取り上げません。日本の選挙で投票する人の半分は60歳以上のフリーライダーだからです。小学生のみなさんにとっては救いのない状況ですが、何とかする方法があるとすれば、老人の多い永田町で「孫のことも考えてください!」とデモをしてはどうでしょうか。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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