「M」は「W」と手を取りあって未来へ進む --- 岡本 裕明

2013年07月08日 19:56

アメリカに出張し、一人寂しくスポーツバーのカウンターでビールとチキンウィングを食べていた時、隣に座った同年輩のアメリカ人もビールを飲みながら手持ち無沙汰の様子でした。アルコールのせいもあったのでしょう、いつの間にかお互い話を始めました。彼が人の話をよく聞き、相槌も上手に入れてくれたこともあり、結構盛り上がり、かなり余計なことまでしゃべってしまいました。


ですが、彼と私とは二時間のファーストネームを呼び合う関係だけで、その後「楽しいひと時でした。ありがとう」と握手をして分かれました。勿論、メアドも携帯番号も交換していません。

なぜ、見知らぬ男と酒場でついついしゃべってしまったのか、といえば、心の奥底に「この人と一生再会することはあるまい」という安心感があったのかもしれません。それゆえの本音トークだったのです。

人は友人、知人、家族、会社の同僚、さらにはSNSのフレンズとやり取りをする際にどこまで正直になれるのか、と考えた見た時、人間の性でどうしても大げさに言ったり、歪曲してみたり、格好をつけてみたりしてそれなりの脚色がついていることは結構あるのではないでしょうか?

それを考えた時、二度と会わない人だからあけすけになれるというのは実に逆説的なのですが、案外、気がつかない本当のことなのかもしれません。

私の友人が面白いことを言っていました。題して、「男と女のトークに関する違い」。男性はなかなか本当のことを言わず、決定したときに友人に事後報告をする、というのです。つまり、その結論に至るプロセスにおいてあまり相談を受けることもないし、相談することもない、ということです。なるほど、会社を辞めるにしても、結婚するにしても、新たな事業をするにしても、自分が病気だということも、辞表を出す、婚姻届を出す、契約を交わした、医者から言われたなどの決定がなされた後に「実はさ、俺、……」という会話が大変多いのです。

一方、女性はおしゃべりをして聞いてもらうことでストレスを発散するというのです。例えば、彼氏と別れるということも別れるどうかという相談をしている一方で実は自分の気持ちでは別れることが決まっているのです。ただその行動、行為が大丈夫か、特に問題ないか友人に確認しながら、実はその自分の悩みらしき考えを言うことですっきりするというわけです。

なるほど、実に面白いと思います。確かにイギリスやカナダにある「アフタヌーンティー」に行こうと誘われても私は「ご勘弁を…」ということになります。一方で、女性からすれば男が居酒屋で毎日顔を合わせている同僚と何時間も酒を飲み交わしているのを「何、そんなに話すことがあるの?」と問い詰められたりしています。

男と女の物事へのアプローチの違いを理解すると「Wの未来」だけでなく「Mの未来」も羽ばたかせることが出来るのではないでしょうか?

リタイアしたのちに急に歳をとるサラリーマンが案外多いものです。競争社会の中で弱音や本音を吐けない自分を作り上げ、居酒屋トークを通じて必死の情報収集、しかし、自分が不利になることは絶対にしゃべらないという構図を続けてくると家族を含め、何でも言える人がいつの間にかいなくなっているのです。退職した時、それにふと気がつく、ということでしょうか?

成長戦略第一弾が女性の社会進出に焦点を当てていますが、案外見落としているのは男性のメンタルヘルスかもしれません。裏成長戦略があるならば私はMの未来を是非とも考えてみたら面白いのではないかと思います。

今日はこのぐらいにしましょうか?


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年7月7日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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