窮鼠になりかねない韓国の窮状 --- 岡本 裕明

アゴラ

7月9日の韓国 中央日報に「アシアナ214便の英雄に拍手を」という社説が掲載されています。内容は客室乗務員の必死の救助活動で乗客を避難誘導したことを賞賛するものであります。そこには事故に対する問題意識の記載は全くみられず、ヒロインを作り上げる事実のすげ替えともいえます。この記事に対する感想の88%に当たる626件の「腹が立つ」というクリックが奇妙に目立つのですが、社説の炎上といっても過言ではないでしょう。

テレビアナウンサーの「死亡者が韓国人でなくてよかった」という程度の低い発言も含め、韓国の報道姿勢が改めて疑問視されます。


しかし、このところの韓国の苦悩はただものではありません。ほぼ、操縦ミスと思われる飛行機事故のみならず、昨年の現代・起亜自動車のアメリカでの燃費過大表示は韓国車の一人負け状態を引き起こしています。更に同社の労使問題に絡む国内ストライキで輸出が滞ったことも大きく影響しています。

好調といわれているサムスンもスマホの将来的伸びを懸念してか、株価は一向にさえません。また、新日鉄の技術を盗んだとして係争している韓国のポスコも新日鉄が住金との合併したことで巻き返しの体制が整い、熾烈な競争の展開が予想されます。

韓国の内需型産業がさっぱりの状態で輸出に依存する体制が李明博前大統領の指導のもと強く推進されましたがここに来て世界経済の低迷も含め、その勢いは止まりつつあります。それが故に朴槿恵大統領は中国との連携強化に走ったわけですが、当の中国そのものが苦しくてあちらこちらから軋みが聞こえてくる中、韓国がその懐に入り込むのは政策的に逆のように思えます。

ある意味、経済、政治、社会が迷路にはまってしまったような、そんな風に見えるのです。

外資の引き上げも顕著であり、韓国ウォンが今後、通貨安に見舞われる公算もありえるかもしれません。それこそ1997年の韓国経済危機の再来がないともいえないのです。

もともと韓国は技術先進国の日本と世界の工場とされた中国の間に挟まれ、人口5000万人の国家としては内需よりも輸出主導を推進することに重きを置きました。そのために日本の技術の吸収は韓国経済の成否を占うほどの意味合いを持っていたのです。

事実、一時期は雪解けムードで韓流ブームにKポップで双方の関係が改善に向かい、少なくとも日本人は韓国に対する違和感が薄れてきていたはずです。しかしながら、フィギュアスケートの浅田真央とキムヨナの一件など局地的な問題があったなかで李明博前大統領の竹島訪問で明白なる壁を作り上げたと思います。

私からすれば、竹島/独島という小さな島の問題を今、表面化させることは双方の国家の関係と成長戦略の中でまったく劣後されるべき事象であって現役大統領がわざわざパンドラの箱を開けることそのものが不可解なのであります。つまり、歴史認識の問題をあえて表面化させてしまったことが回りまわって韓国経済の首を絞めた、ともいえるのではないでしょうか?

先般の日韓通貨スワップの一部打ち切りを含め、日本は静観のスタンスが強まっています。

私にはこのままいけば韓国がどんどん、内に篭ってしまうように見え、本来の良さが打ち消されていくように思えます。社説の論調をみて、その不安は一気に高まったといえる気がいたします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年7月10日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。