岐路に立つニュータウン開発 --- 佐嘉田 英樹

2013年07月14日 06:00

京成高砂駅から北総線に揺られて約30分、印西牧の原駅の北側に千葉ニュータウン最後の開発予定地がある。この開発予定地は、約50ヘクタールで本格的な宅地造成もなされず、約40年間放置され、ホンドギツネ、ノウサギ、トンボなどの希少種の聖域となっているという。

この開発予定地では、2012年11月、URは原っぱの南側の樹林を大量伐採し、宅地造成を開始。それに対して、地元の市民グループや日本生態学会などが、造成の一時中断や保全の申し入れを行っている。


千葉ニュータウンは、計画面積1933ヘクタール、計画人口143,300人で1966年に千葉県が単独で事業を開始し、1978年に宅地開発公団(現、都市再生機構UR)が参画。多摩ニュータウン、港北ニュータウンに次ぐ大規模ニュータウン。当初は、人口34万人の予定だったのが、オイルショック、バブル崩壊、少子高齢化などの影響もあり、数回にわたり規模の縮小と延期が続いている。

確かにまちづくりは、50年、100年スパンの長期的な視点でつくり上げる一大事業だ。また、都市計画の遂行にあたっては、公共の福祉という大義のもと、民有地の買収など、個人の私有財産に大きな制限を課すことができる。よって、一度決定されると、そう簡単にコロコロと変更されてしまうと、人々の人生設計に大きな狂いを生じさせる可能性もあるため、原則としては、最後まで完遂させることが肝要だ。

一方で、高度成長期に決定された都市計画を、金科玉条のごとく、社会や経済情勢の変化に柔軟に対応させることが難しいことが問題点としてたびたび指摘される。少子高齢化、コンパクトシティ、都心回帰、サステナビリティなどのキーワードで表されているように、人々のライフスタイル、価値観も大きく変化している。そのような状況の中で、宅地造成を推進させることの意義がどれほどあるのだろうか。貴重な生態系を破壊し、自然環境への負荷は過大である。

既にブラウンフィールドとなっている土地を再生され、グリーンフィールドには今後手を加えないという原則を徹底させるべきではないか。

佐嘉田 英樹
都市・経済政策研究所 所長

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