再び死炭素について ~ コメント欄との質疑 --- ヨハネス 山城

アゴラ

いいや、さすがはアゴラやのう。前の記事が載って一昼夜もせんうちに、プロ中のプロからコメントがもらえた。松本公平センセ、ありがとうさんどす。毎回、鋭い指摘をいただける辻元センセにも、合わせてお礼を言いたい。

さて、松本センセのコメントで、何点か若干わからんことがある。さすがに、老いぼれたとはいえ元地球科学者のワシがわからんのやから、一般の読者には、もっと分からんと思うので、センセのコメントを若干整理しながら質問させてほしい。

もちろん、他の専門家の方にも、ご教授いただけたら、たいへんありがたい。


まず「放射性炭素でもデッドカーボン由来の炭素はありますが」というのが、ようわからん。もしかしたら、ワシが死炭素と訳した「デッドカーボン」とは別物なのかもしれんが、ワシの言う死炭素とは、「生物体の死などによって大気から新たな炭素が加わることのない物体の中の炭素が、数万年(現在の科学のレベルでは5万年とのこと)たって、放射性炭素の大部分が崩壊し、検出限界以下になったもの」という意味や。

もし、この定義なら、デッドカーボン由来の放射性炭素というものは有り得んということになるが、どうなんやろか。

次に、「現在化石燃料由来可動化を判定するのは大気中のCO2の13Cの方です。(引用順不同)」とあるが、13Cでわかるのは、その二酸化炭素の炭素が生物起源かどうか、ということだけやと思う。その生物が、古生物なのか現存生物なのかは、13Cだけではわからんと思うんやが、何か方法はあるんやろか。

「放射性炭素でもデッドカーボン由来の炭素はありますが、得られた14Cの測定誤差に耐えられません」。ここもわからん。0.03%の二酸化炭素が0.04%になったわけやから、その増分に14Cがふくれていない(死炭素)のやったら、大
気中の死炭素の割合は25%減るはずやがな。

松本センセが「教科書的」とおっしゃる。増分の3分の2が化石燃料起源やとしても、ざっと17%の減少となるはずや。核実験起源の14Cがエクスポーネンシャル(指数関数的;ヨハネス注)に減少する様子が観察できるレベルの現代科学が、これを見落とすとは思えん。決して、誤差範囲の話ではないと思うがのう。

「炭素量について、化石燃料由来の放出量は諸数字あるのですが、教科書的には森林伐採、海洋開発などで生じる量の概ね2倍です」。だいたい、ワシの考えていた量に近いと思う。ということは、環境を回復させて生物量を増やして、それまで毎年失われていた量を毎年、回復させたら、化石燃料の影響は半分になるということや。火力発電を原子力に、無理矢理取り替えるよりも、効果があるはずや。どこまで出来るかは別やで。

どっちにしろ、原発を何基増やしたところで、これまで出てきた二酸化炭素を回収することはできんのやから、それとは別に、自然環境の回復が必須やろ。それやのに、再起動命とばかり、わーわーわーわー言う取るやつで、植林にも同じぐらい熱心なやつ見たことない。こどものキャンプなんかで、ワシも植林のまねごとをすることがあるが、その道の人は、たいてい反原発や。なんでやろなぁ。

今回、改めて思ったのは、同位体屋さんにもっと発言してほしいということや。二酸化炭素の増分にかなり自然破壊分が含まれている、ということなんか、IPCC(確か、イカサマ、ペテン、チョンボ、クラグの略やったかな?)の連中が積極的に開示するとは思えんからな。

まあ、そこまで言うのは、真面目に温暖化の研究しとる人に失礼かもしれんが、分析データというものは、一人歩きさせずに、測った人間のコメントいっしょに読むのが一番やと思う。

「余談ですが、バーボンはトウモロコシ、C4植物由来で-10‰前後、スコッチは大麦、C3植物で-30‰前後で簡単に判別出来ますね」。それで最近は、同じブランドのウィスキーの中に、変な味の瓶が混じっていることが無くなったわけやな。うまい酒が飲めるのも、松本センセらのおかげ、というわけや。

というわけで、そろそろ仕事納めして、角のロックで一杯や。なんで角なんかはきかんといてほしいもんやのう。

ヨハネス 山城
通りがかりのサイエンティスト