中東・北アフリカが世界の火薬庫である理由

2013年07月17日 12:00

エジプトでクーデターが起き、シリアでは内戦が続いている。 ここでは、中東・北アフリカで何が起きているのか、主として物理的な側面から考えたい。


中東・北アフリカ地域の人口爆発と資源減耗

中東・北アフリカ地域の人口増加率は高い、最近、クーデターの起きたエジプトの人口の推移は下のグラフのようなっている。

人口の推移 - 世界経済のネタ帳

中東・北アフリカ地域の人口は爆発的に増加している。同地域の人口は、1970 年の 1 億 9,000万人から 1995 年には 3 億 8,000 万人に倍増、2010 年には 4 億 5,000 万人程度に増加している。 そして年齢別人口構成も、日本や欧州の「少子高齢化」とは対照的な「多子若齢化」が進んでいる。

エジプトはナイル川の水を利用した農業が盛んであり,穀物生産量は北アフリカで最大であるが,小麦、トウモロコシを多く輸入しており、小麦は世界最大の輸入国である。

サウジアラビアは,80年代より地下水を汲み上げて砂漠を小麦畑にしてきたが,水資源の枯渇が問題になったため、小麦生産はほとんど停止している。

イランは乾燥地帯であり、需要に見合う降雨のある地域は国土の10%しかないが、農業生産を地下水の汲み上げに依存しており、地下水位の低下は深刻だ
 
アフリカ・中東の穀物輸入量が世界の穀物貿易量全体に占める割合は約3 分の 1 になっており人口爆発に食糧生産が追い付いていない。

一方、中東・北アフリカ地域は原油生産により発展してきた地域だが、資源の減耗は著しい。 例えば、エジプトはかつて有数の産油国だったが、現在は原油の輸入国である: 

egypt oil export

内戦が続くシリアも、内戦勃発前には、原油生産がピーク時の60%まで低下し、国内のガソリンの価格が補助金の引き下げにより一気に三倍になった。現在は内戦のため、国内の原油生産はピーク時の5%にまで落ち込んでいる。

世界最大の産油国、サウジアラビアでさえ、原油輸出を続けられるか不安視されている。実際、2030年までにサウジアラビアが原油輸入国になるというシティグループによる予測がある。サウジアラビアなどの産油国が、原子力発電や太陽光発電に熱心なのは、石油資源が減耗する中で、将来を見据えてのことだ。

中東の原油に大きく依存している日本だが、中東の原油も、資源の減耗、産油国の国内需要の高まりや人口増により、いつまで中東依存が続けられるか、大きな不安がある (シェールガス・オイルは救世主にはならないだろう)。

このように、中東・北アフリカでは、人口爆発と資源の減耗が同時進行しており、食糧を海外からの輸入に頼っている。このことが、若年層の失業を招いており、その解は、見いだせないのが現状である。 

世界的な人口抑制への取り組みの必要性

以上、中東・北アフリカ地域の状況が持続性を欠いたものであることを見てきたが、このように持続可能性の問題が一旦顕在化すると、容易に解は見い出せない。

エジプトにしろシリアにしろ、その他の中東・北アフリカの多くの国々にしろ、どう頑張っても膨張した人口を減耗する原油、地下水といった資源で豊かにすることは極めて難しい。 

中東・北アフリカが抱える問題は、今後何十年も続くだろう。 

このように、計画性のない人口膨張は、悲惨な結末を迎えるのであり、このことは、世界全体についてもあてはまる。 エジプトで起きたことは、今後、世界的な資源の減耗、食糧生産拡大の行き詰まりと共に、我々が直面する問題なのである。 

人類の最大の敵は、自らの将来を見据えた展望のなさであることは明らかだ。日本でも、財政破綻というコンクリートの壁が迫っているのに、それに向かってアクセルを踏むようなアベノミクスなる政策が実行されているが、「固い岩盤を打ち砕く」なんてやっている中に自らが岩盤に衝突して死んでしまいそうだ。有権者は、現在の生活を犠牲にしても持続可能な社会を構築する道を選ぶべきだ。 

世界全体で、人口抑制への真剣な議論を始め、持続可能な世界を構築することを切に望む。 

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