税金を使わずインフラを整備できるのか --- 岡本 裕明

2013年07月25日 01:14

7月19日の日経一面に「滑走路、国費ゼロで増設」という記事が出ています。選挙前ということもあり、第一面の割にはあまり目立たなかったと思いますが、この発想は赤字に悩む財政には大きな力を発揮するかと思います。

まず、記事のほうですが、福岡空港の二本目の滑走路建設に当たり、国が滑走路を所有し、民間にその運営権を売却、民間は搭乗客などから使用料を取るというものです。スキーム的にはごく簡単なのですが、このアイディアは空港のみならず、あらゆる公共工事に転用できるという点で優れているのです。


国のメリットは建設費負担がなく、運営の為の人も必要なく、管理に徹することが出来ます。一方で所有権は国が保有したままですから裁量権は維持できるのです。

実はインフラ整備において外国ではこのような手法を使うことはしばしば行われています。私が進めたカナダの開発物件の例をとりましょう。

住宅開発地内に高齢者向け住宅建築が開発条件として課せられています。当局は市場価格よりも安価に設定された合意金額とスペックに基づきデベロッパーにその建築を発注します。土地代は空中権の登記という特殊な方法にて無料にて当局に譲渡します。一方、当局とデベロッパーは建築される物件の運営者を入札を通じて選定します。

建物完成後、デベロッパーは建築費の支払いと交換に不動産所有権を当局に譲渡します。当局は運営者に60年のリース契約をし、当局にリース料が入ります。つまり、当局は資金の一時的負担はあるものの極めておいしい形で当局の資産を増やすことが出来るのです。この間、行政サイドとしては福祉施設が増え、運営は民間のノウハウが導入されますが、行政サイドの管理者は一人が複数の施設を担当する形となり、小さな政府が実現できています。

福岡の例は私が経験したカナダの例と同一線上ですが、例えば託児所も同じスキームで開発しましたし、日本を含む世界では高速道路の運営もその一例となりつつあります。

昔から言われているのが行政サイドと民間サイドの長所短所。それぞれが独立している限り改善はありませんが、相互のよさを取り入れあうことで極めて効率的で経済的な展開は可能になってきます。日本の財政再建でも既存のやり方を踏襲するのではなく、このような革新的な方法を取り込むことが今後の日本に極めて重要になってくるのではないでしょうか?

案外見落としがちな記事だったのであえてトピとして取り上げてみました。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年7月24日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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