大丈夫か、日本の医薬業界

アゴラ編集部

このところ医薬関係の不祥事や事件が頻発しています。今回、大手製薬会社「ノバルティスファーマ」の高血圧治療薬について、多くの疑惑が出てきました。血圧の降下作用を示す治療薬「バルサルタン(商品名:ディオバン)」の臨床試験に、同社の社員が身分を明かさずに参加、これを自分の論文として発表し、また同社の上司の一部もこの社員を後押ししていた、と2013年5月に同社が報告書をまとめ、問題が明らかになりました。その後、社員は同社を退社しています。しかし、それ以前にも臨床試験の結果を疑う声はあり、2013年に入ってからは論文が撤回されるなどする中、同社が内部調査をした、というわけです。


臨床試験には、京都府立医大、東京慈恵会医大、千葉大、名古屋大、滋賀医大の研究者が参加。実際に患者に投与し、効果を調べる大規模な研究を実施したらしい。元社員は統計が専門で、研究結果に大きく関与できる、とされています。その後、試験に参加した各大学も内部調査を進め、7月12日には京都府立医大が、また7月30日には東京慈恵会医大が、データへ人為的操作の可能性があることを認め、激しく批判されています。

ノバルティスファーマの親会社、スイスのノバルティス(Novartis)は、売上高世界二位を誇る製薬会社です。製薬業界の例に漏れず、M&Aや合併などの合従連衡を繰り返し、巨大化した企業。日本法人の歴史も古く、元になった企業は1950年代の初めごろから活動を始めている。紆余曲折を経て1997年からノバルティスファーマになっている。今回の「ディオバン」は日本で最も売れている降圧剤です。

この問題では、ノバルティスファーマが会社ぐるみでデータの改竄に関与していたかどうかもさることながら、臨床試験を実施した各大学が同社とおかしな癒着がなかったかどうかが焦点。さらに、各大学が積極的に「ディオバン」の効用のPRをし、それが同製品のヒットにつながったことも指摘されています。今回の疑惑は、臨床試験に対する信頼を大きく揺るがすことになりかねず、原因解明の徹底が求められている。表題ブログでは、当該製品で皮膚障害が出る、という報告が相次ぎ、厚労省が調査を始めた、と書いています。データ改竄や癒着のみならず、実際に薬害が起きているとしたらこれは大問題です。

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薬デイオバン服用後に皮膚障害


洞窟壁画は我々の偉大なる先祖が麻薬でヨタって描いていたことが判明
GIZMODO日本版
鬼才、ケン・ラッセル監督の映画『アルタード・ステーツ』には、脳科学者ジョン・C・リリー博士のアイソレーションタンクが出てきます。メキシコ先住民が使っていた幻覚キノコを食ってそこへ入るといろんなものが見えてくる、という映画。インドネシア・バリ島のキノコは牛の糞から早朝に生えてくる。紫外線に当たると幻覚作用がなくなるから日の出前に収穫に行かなきゃなりません。バリ島はヒンドゥー教とアニミズムの混交だから、神の使いである牛がそこらへんにいるんですな。北海道には自生した大麻があちこちにあるらしい。でも、その場所はほとんど司直がマーキングし、監視してるので採取しちゃダメですよ。で、この記事によると、古代の壁画を描いた人たちはラリってたそうです。この研究、東大の池上高志教授とまさにメキシコで研究員をしている弟子によるもの。しかし、自然由来の幻覚物質ってのは、人類の進化に何か影響を与えてるんでしょうか。

カーボンナノチューブで史上最強の化学繊維が作られる!?
IRORIO
ナノテクノロジー、という言葉はよく耳にしてもいったいどこにどう使われているのか、ちょっとわかりませんね。どうしてナノサイズの技術がこれほどまでに必要とされているか、と言えば、それは電子デバイスの集積化や電子のコントロールにとって大きなアドバンテージになるからです。その派生系としてナノサイズの素材を使った技術が出てきた。なので、半導体の回路の設計や太陽電池の素材、この記事で紹介されているような炭素繊維などに使われるようになっています。ナノテクノロジーを利用した繊維は、電気や熱を良く通し、強度も高くコストを安く抑えられるらしい。炭素繊維を超える新たな素材が誕生するかも、というわけです。

李白と数値表現
墨と硯と紙と筆
10より多くの数を数えられない種族というのがいるようです。10以上は「たくさん」になる。両手の指が10本なんでそうなるのか。このブログでは、李白の漢詩にある「白髪三千丈」という表現と「平仄(ひょうそく)」との関係について書いています。日本語の「音」に名残があるとはいえ、中国語の発音による平仄はちょっとわかりにくい。とにかく、人間というのは昔から誇大表現が大好きです。ここで書かれていることによれば、一つの基準が3000らしい。アルプス1万尺という表現もある。1尺は約30センチだから3000メートルでだいたい合ってます。ちなみに、タヌキのふぐりは八畳敷きらしい。八畳というのは現実的な数字で生々しいですな。

紫外線と細胞のダメージ   それは日光過敏症?
FREE NURSE  働くと、休むと。
最近、増えてきたのが男性看護師さんが書いているブログです。そのユニークな視点による医療関係の記事を読むことができる。もちろん、女性看護師さんのブログもいいんですよ。念のため。で、このブログも男性ナースさんが書いています。日焼けの影響は女性だけじゃない、というものです。人によって日焼けに対する反応は違うので過敏な人は要注意、というわけです。


アゴラ編集部:石田 雅彦