『半沢直樹』と『あまちゃん』を見ると、民主党と日本維新の会が凋落した原因が分かる --- 島田 裕巳

2013年08月02日 00:59

今、絶好調のドラマと言えば、朝ドラの『あまちゃん』と日曜劇場の『半沢直樹』である。ともに、視聴率が20パーセントを超え、ランキングの首位を競っている。

この二つのドラマ、実は共通点がある。ともに、「チーム」ということが重要な意味をもっている。しかも、カリスマ的な力をもつリーダーに率いられたチームだ。


『半沢直樹』のほうが、その点ははっきりしている。東京中央銀行大阪西支店の融資課は、半沢課長(堺雅人)に率いられたチームで、今や5億円の資金を回収するという使命を課せられている。これに対しては、銀行内からも妨害があり、敵は多い。ただ、融資課の課員の他に、半沢の同期の渡真利忍(及川光博)や、5億円の事件では被害者の立場にある竹下金属社長の竹下清彦(赤井英和)も広い意味でこのチームの一員である。

一方、『あまちゃん』にはいくつものチームが登場する。まず、故郷の方には、夏ばっぱ(宮本信子)が率いる海女クラブのチームがある。主人公のアキ(能年玲奈)は、このチームのなかで最初成長した。

故郷には、もう一つ、観光協会というチームはあるが、こちらは強いリーダーが不在で弱体である。ただ、ストーブさんと呼ばれている足立ヒロシ(小池徹平)が父殺しを果たし、強力なリーダーシップを発揮するようになる可能性がある。

東京には、芸能事務所ハートフルを経営する辣腕プロデューサー「太巻き」こと荒巻太一(古田新太)がいる。ハートフル、あるいはアキのGMTを含むアメ女が、相当に強引な荒巻きに率いられたチームである。

ただこちらも、アキの母親春子(小泉今日子)がステージママを超えてGMTのプロデュースをしようとしているようにも見え、波乱要因である。

いくら主人公が格好良くても、ヒロインが可愛くても、それだけではドラマは成り立たない。歌舞伎の常套手段である源氏と平家の対立関係にも見られるように、善を体現するチームと悪を体現するチームが激しくぶつかり合ってこそ、物語は盛り上がる。

チームが結束するには、しっかりとしたビジョンをもったリーダーが不可欠で、相当な独断をもってしても、そのチームを強力な組織に仕立て上げていかなければならない。その点では、半沢直樹と荒巻太一が拮抗しているとも言える。

こうしたドラマが脚光を浴びるということは、現在の日本の社会に、カリスマ的なリーダーに率いられた強力なチームの出現を待望する世論があることを意味する。それだけ世界は激動しているとも言える。

ところが、政治の世界になると、ビジョンがはっきりせず、チームとしてのまとまりが欠けた政党が目に付く。

その代表が海江田万里の率いる民主党である。都議選と参院選に惨敗し、今や政党として存立の危機にある。にもかかわらず、海江田リーダーは、まったくリーダーシップを発揮していない。どんなビジョンをもっているかも定かではない。これでは『あまちゃん』の観光協会以下である。

もう一つ振るわない政党が日本維新の会である。こちらは、二人のカリスマ的なリーダー、橋下徹と石原慎太郎がくっついたことが最大の敗因である。これでは、橋下が強力なリーダーにはなり得ない。二人もリーダーがいては、チームはまとまりようがない。

その点で、自民党は、再生し復活した安倍晋三首相が、依然として強力なリーダーシップを発揮している。現実にはそれほどたいしたことを実行しているわけではないにしても、「アベノミクス」というビジョンが明確だ。しかも、フェイスブックを巧みに活用し、強力なリーダーであることをアピールすることに成功している。

現代の政治は、「劇場型」と称せられるように、ドラマチックな展開を求められている。『半沢直樹』や『あまちゃん』ほどではないにしても、有権者の興味を引き付けるドラマがなければ、支持は得られない。

安倍政権に不安があるとすれば、麻生太郎副総理の存在である。ライブならアドリブも必要だが、ドラマには余計なアドリブは不要である。やっぱり彼は、悪役のほうが向いているのかもしれない。

島田 裕巳
宗教学者、作家、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」会長
島田裕巳公式HP

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