アメリカ政府の誤った退避勧告

2013年08月26日 01:17

今週のニューズウィーク日本版に「フクシマ神話の歪められた真実」という8ページの記事が出ている。筆者はポール・ブルーステイン。GEPRにも寄稿してくれた元ワシントンポスト記者だ。


3・11の直後にアメリカ大使館が在日アメリカ人に「半径80km圏からの退避」を勧告した。これはNRC(原子力規制委員会)のヤツコ委員長(当時)の情報にもとづくもので、その根拠は「4号機の冷却水はすべて失われている」という未確認情報だった。

他方、日本政府は「4号機のプールには水が入っている」と発表していたが、ヤツコが未確認情報を議会で証言したため、「日本政府は真相を隠している」という上杉などのデマが飛んだ。3月末には、この情報が誤りであることをNRCが確認して大使館にも伝え、退避勧告は解除されたが、メディアはほとんど報じなかった。

もう一つは菅直人氏が大騒ぎした「3000万人が避難」という近藤駿介原子力委員長の「最悪シナリオ」だ。「半径250km以内の住民が避難対象になる可能性がある」というものだったが、これは近藤氏が事故の10日後に、ほとんどデータのない状態で「ラフな試算」をしただけの参考資料に過ぎない。実際には、原発のまわり数kmを除いて避難対象になるような放射線は出なかった。

しかしアメリカ政府は「80km避難」をすぐ解除したが、日本政府は16万人の避難勧告をまだ解除できず、「1mSvまで除染する」という地元を説得できない。安全対策としてまったく意味のない原発停止も解除できない。これは日本政府が無能だからだろうか、日本人の民度が低いからだろうか、日本のマスコミがバカだからだろうか。それとも全部だろうか。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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