新大統領はイランのゴルバチョフ? --- 長谷川 良

2013年08月26日 11:12

イランからさまざまなシグナルが流れてくる。ハサン・ロウハニ師(64)が今月4日、新大統領に就任して以来、マフムード・アフマディネジャド前大統領時代の強硬路線から欧米対話路線に路線が修正されるのではないかと期待されている。
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▲ウィーンに本部を置く国際原子力機関(IAEA)本部


中東問題専門家アミール・ベアティ氏は「ロウハニ師の最大課題は国際制裁の緩和を実現することだ。ロウハニ師は大統領選でも国際制裁の緩和を実現して国民経済の活性化を公約してきた。欧米社会にイランから新しい風が吹いてきたという印象を与えようと腐心するだろう」と指摘した。欧米のメディアの中には、「ロウハニ師はひょっとしたらイランのゴルバチョフと呼ばれるようになるかもしれない」と予想する論調もみられる。

国連の対イラン制裁下で同国の国民経済は停滞してきた。国民の平均年齢が30歳以下の同国では若い国民の間に国の将来を悲観する声が高まってきている。原油輸出国のイランでガソリン不足が深刻であり、日常消費財の不足も目立つ。

べアティ氏は「ゴルバチョフはソ連システムの抜本的な改革を目指した政治家だ。ロウハニ師はイラン全般の改革を実施するというより、前政権時代に険悪化した欧米諸国との対話復活に重点を置いてくるだろう。その意味で“イランのゴルバチョフ”呼ばわりは少々、過大な期待かもしれない」と指摘した。

ロウハニ師は聖職者出身だから聖職者組織を熟知している。同時に、元核問題交渉責任者(2003~2005年)でもあったから、核問題の現状にも精通している。その意味で、聖職者組織と具体的な政務に長けたロウハニ師は、「文明間の対話」を提唱して一時期欧米諸国からも期待されて大統領に就任した聖職者出身のハタミ師とは明らかに異なる。

ちなみに、ロウハニ師は自国の核開発計画について「主権国家の権利であり、ウラン濃縮関連活動を停止する考えはない」と既に表明し、対話に応じるが、主権の権利を譲歩する考えのないことを主張している。

なお、IAEAは9月9日から定例理事会と年次総会を開催する。ロウハニ新大統領のもとイラン代表がどのような核政策を示すか、注目される。

【短信】

「人魚姫」のブロンズ像100年目を迎える

デンマークの代表的童話作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの「人魚姫」の話は皆さんもよくご存じだろう。人間の王子を恋した人魚姫の悲しい話だ。海の泡となって消えた人魚姫のブロンズ像はコペンハーゲン湾の岩の上で横たわっている。そのブロンズ像は1913年、彫刻家エドヴァルト・エリクセンによって制作され、8月23日で100年目を迎えた。人魚姫像は今ではコペンハーゲンのシンボルであり、世界から多くの旅行者が訪ねてくる。ちなみに、人魚姫の運命のように、そのブロンズ像も過去、首や手が切断されるなど試練を受けてきたという。
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▲コペンハーゲン湾の「人魚姫」のブロンズ像(2012年8月、コペンハーゲンで撮影)


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2013年8月26日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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