アフリカ中東地域で高く評価される日本企業の地道な努力 --- 岡本 裕明

2013年08月27日 11:20

安倍首相の外遊を通じて、バーレーン国王から日本に資源開発の協力の要請があったと報道されました。国王は、同国で新たな原油・天然ガスの採掘事業が計画されているとしたうえで、「日本が権益確保を含めて参入する余地はある。前向きに検討してほしい」(読売)とのことです。

なぜ、日本にラブコールしているのでしょうか?


私は日本が政治的にも宗教的にもピュアで中立的なポジションにいることで中東やアフリカの諸国がアプローチしやすいのではないかと考えています。欧米諸国は政治と経済をうまく組み合わせながら結果として欧米の得になるような仕組みをつくるのが得意です。中国の習近平国家主席も就任後その第一番目の外遊先をアフリカ諸国にしましたが、中国がアフリカに目をつけている野望はありありと手に取るようにわかります。アフリカ諸国も当然ながら一定の警戒はするでしょう。

一方、日本の場合、世界でもまれに見る純粋培養のような国です。ビジネスならビジネスを主体にきちんと組み立てた上で社会や経済の習慣に戸惑い、仕事の進め方において非常に苦労しながらも民間企業はへこたれずに頑張っているのです。

たとえばトルコのイスタンブール近くのボスポラス海峡はヨーロッパとアジアを結ぶ重要なポイントでありますが、そこには現在、橋が二本架かっているだけです。現在、大成建設が主導で海底トンネルを建設しているのをご存知でしょうか? しかし、海外巨大プロジェクトに長けた大成建設といえどもかなり苦労していて損益は相当悪化しているようなのですが、まもなく完成するでしょう。この地元の願いを適えるための必死の努力はその後、トルコにおける三菱重工による原発受注に繋がる礎になった可能性は大いにあるのです。

当然ながら周辺国もそのような姿勢を見続けています。だからこそ、バーレーン国王が安倍首相にビジネスチャンスを提供したのかもしれません。

少し前の日経ビジネスにBMCインターナショナルという小さな会社が提供する消費税の徴収システムをアフリカの6カ国とたてづづけに決めた、とありました。これは同社の社長が25年にもわたりアフリカへの営業を熱心に続けたことで一気に開花したのでしょう。

日本は資本の力に頼るわけではなく、地道な努力を着実に行ってきました。蚊取り線香でもヤクルトでもどんな海外の僻地や田舎へも一歩一歩踏み分けて市場開拓する精神を持ち続けてきました。その間、日本政府の後押しがあったことはほとんどないでしょう。

つまり、日本の大企業からBMCインターナショナルのようにわずか12人の会社までがまさにビジネスの開拓者精神で政府の助けがほとんどなくてもここまでやってきたのです。

このもうひとつのバックグラウンドとして宗教色が少ない、ということもあるのかもしれません。

中東でいつも揉め事があるのは宗教的背景などがその理由にあることが多いのですが、日本の場合、宗教は、といえば日本人に聞いても「?」かもしれません。なぜなら慶びごとはおおむね神道で、弔事は仏教で行うことが多く、欧米や中東の人のように厳密で厳正なる宗教心とは違うことから彼らからすれば抵抗が少なく受け入れられるのかもしれません。

街が西に延びるというのはほぼ正しい流れですので近い将来、中東とアフリカは必ず、経済争奪戦が繰り広げられる可能性があります。ならばそれより一歩先んじてBMCインターナショナルの社長のように地道な努力を重ねることで人的交流が深められ、より強いビジネスの基礎を築くことが出来るのではないでしょうか?

既にアフリカに進出している日本企業は相当数にのぼります。日本が生きるための道はより遠くへと広がっていくのでしょうね。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年8月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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