不透明に世界が揺れる秋が来た --- 岡本 裕明

2013年09月07日 20:35

北米の金曜日は将来を占うには多くの材料を提供してくれたようです。

まずは雇用統計といきたかったところですが、G20におけるシリア情勢をめぐる各国間の調整が出来ず、首脳宣言にシリアのことが盛り込まれなかったことが最大のニュースかと思います。特にオバマ大統領とプーチン大統領が急遽20分ほどの個別会議を行ったようですが、それでも溝は埋まらず、むしろ、アメリカ、フランス側に対してとロシア、中国側というポジショニングが明白に分離したという印象が強い結果となりました。Dividedという単語が北米のメディアで目に付いたのが今後の世界情勢を占う意味でかなり気になっています。


また、経済についても日欧米が順調な経済の回復ぶりを示しているのに対し、新興国が世界需要の低迷の上にアメリカの金融量的緩和からの離脱が近いことを受けて、資金流出が起こり、新興国各国の経済成長率の低下、為替安、インフレ懸念が出来てきたことに強い懸念を示す格好となりました。おまけに日本人の大好きなノーベル賞経済学者ポール・クルーグマンが9月5日付のニューヨークタイムズのコラムでYears of Tragic Wasteというタイトルでオバマ大統領の経済政策をかなりぼろくそに書いているのも輪をかけたような感じがします。

次いでアメリカの雇用統計ですが、こちらも8月の雇用の純増が事前予想を下回った上に6月、7月の発表値を下方修正、特に7月については16万2000人から10万4000人と大幅減となったことで失望感を広げました。量的緩和からの離脱開始時期を検討する9月のFOMCにおいてこの雇用統計の意味するところは大きく、市場の一部では緩和離脱の時期が遠のいたという声も出始めています。バーナンキ議長が量的緩和離脱に言及した5月のバックデータである4月までの3ヶ月間の平均月間雇用純増は22万4000人に対してこの三ヶ月の平均は14万8000人に留まりました。ポール・クルーグマンの指摘も考慮すれば金融の量的緩和からの離脱は今月からスタートするのは難しいと見るほうがナチュラルかもしれません。

日本の金曜日はオリンピックに振り回されていた感じがありますが、その中で私が注目したのはドコモがiPhoneを発売するのではないかという噂であります。各方面で大きく報道されていますが(ドコモは否定しています)、金曜日のドコモの終値がわずかの上昇にとどまったことで人々は既にアップル離れをしつつあるのか、という連想を引き出しました。つまり、アップル狂想曲はピークを過ぎたということでしょうか? 昨日もお伝えしましたが、9月10日にアップルが何がしかの発表を予定しており、それがiPhone5Sではないかと見られています。もしも5SであればiPhone5から大きなスペック変更はないということですからアップルのスマホに大幅な成長はないとも取れるのです。そして、むしろ世界では安価なスマホが市場を席捲する中で比較的強気の価格設定のアップルであることを踏まえればスマホにおいては主役交代の感が強まったということかと思います。

オリンピックについてはこの時期になると日々刻々その噂が入り乱れるのであえてこのトピに入るのは避けてきました。1年ぐらい前まではオリンピックの意味合いから考えればトルコ優位と思っていましたが、シリア問題とトルコの国内問題を抱え、先行き不安定感がイメージとして強く出てしまい、可能性は薄くなった気がしております。一方、当初スペインは難しいと思ったのですが、若年層の失業率が高く、雇用創出のために欧州出身のIOC委員が40名近くいるという状況を考えれば可能性がないともいえませんが、ロンドンでやったばかりですから私はスペイン優勢という話はそのまま鵜呑みに出来ません。今回はさまざまな与件から考えれば東京でいいと思います。

9月は相場が荒れるといわれています。確かにこの先、重要な案件がひしめいています。数多くあるハードルをどう乗り越えるのか、ひとつの予想さえ難しいのにこれだけ並ぶとまったく困惑するというのが正しい表現だろうと思います。

私は今は相場からは距離感をおき、やや冷静にモノを見るようにしています。そうでないと実に疲れてしまう日々を送らなくてはいけませんので。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年9月7日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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