医師教育の投資収益は3億円の黒字

2013年09月16日 07:31

前項で、書かなかった医師の投資収益を考察してみたい。


同一医療法人の他施設において、医師の募集があった。

1200万円(週5日勤務) 専門性や経験年数の指定なし
初期研修医(卒後2年間)は、おそらく求人の対象外なので、応募資格は3年目以降となる。

以前の表に、この値を入れて、再掲載する。給与は年額であり、ボーナスと夜勤手当は含まれているが、超過勤務手当は含まれない。

医師12000000
正看護師4752000
准看護師4252500
理学療法士3753000
作業療法士3633000
言語聴覚士3753000
薬剤師3472500
管理栄養士3516000
社会福祉士3580500
精神保健福祉士3580500
介護福祉士3412500
ヘルパー3172500
ケアマネージャ3213000
医療事務員2940000

医師免許の取得にかかる直接費用は、学費が350万円(国立)か、2000-5000万円(私立)か、どちらかだ。防衛医科大学校や自治医科大学は特殊だから扱わない。

学力による選抜が、事実上ない底辺私大の学費として、5000万円を採用して、高卒から就職までの逸失所得がヘルパーの年間賃金300万円とすると、医師免許取得には、6800万円の費用が必要になる。

この法人におけるヘルパーと医師との年間賃金の差は900万円であり、8年あれば、医師免許取得費用は回収可能である。

つまり、もっとも学費の高い私立医学部に行った場合ですら、大学入学後16年で元が取れるのだ。その後は、毎年900万円ずつの超過利益となる。定年は65歳なので、初期研修終了後、39年働くとして、2億8300万円の黒字となる。6800万円(金利含まず)の投資に対する収益は900万円/年なので、投資収益率は13.2%だ。

この試算は、きわめて控えめなものであり、国公立を出た場合、もっと高賃金の施設で働いた場合、定年を延長してもらうか、他施設に移った場合は、さらに黒字幅は大きくなり、収益率は向上する。国公立を卒業するなら、生涯賃金の黒字幅は3億2950万円、投資収益率は41%に達する。

このように試算してみると、「金さえあったら、国公立を目指して多浪などせず、私大でもいいからさっさと入るべき」ということになる。また、私大学費は、まだ上げる余地があり、むしろ安すぎるとも考えられる。

世間的に、「医師は高所得だが、資格取得費用が莫大だからバランスが取れている」という話があるが、そんなことはなく、圧倒的に儲かるのだ。

*求人の賃金は、政府統計の賃金水準より低いという指摘があったが、最新の雇用状況は、新規採用時の条件に反映される。また、医療職には、年功賃金の要素はほとんどない。1年目も10年目も同じだ。役職に就かないなら、採用時の賃金が定年まで続く。

井上晃宏(医師、薬剤師)

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