全米で最もリッチな州、貧しい州はどこ? --- 安田 佐和子

アゴラ

米8月雇用統計が失望的な結果で終わり、米連邦公開市場委員会(FOMC)は予想外に量的緩和(QE)縮小を見送り……アメリカ経済には一体何が起こっているのでしょうか?今を見極めるために、過去を振り返るのも悪くないでしょう。成長エンジンたる消費の源泉、2012年の家計所得はといいますと……。

米国勢局によると、2012年家計所得・中央値は5万1371ドル(508万8780円)でした。2011年が5万1324ドルでしたから、前年比で0.09%増という体たらく。同年に220万人の雇用が創出されたにも関わらず、伸びは停滞しているんですよね。

では24/7 ウォールストリートを元に全米で最もリッチな州、貧しい州の5位をそれぞれみていきましょう。(注意:貧困水準とは、個人世帯で1万1334ドル/112万2460円、4人家族で子供が2人の場合で2万2133ドル/219万1170円。)

5位 ハワイ州

家計所得 6万6259ドル(655万9640円)

人口 139万2313人(11番目の低水準)

失業率 5.8%(12番目の低水準)

貧困水準以下の割合 11.6%(8番目の低水準)

→アメリカの楽園は、所得と雇用の面でも素晴らしいんですね。

4位 コネチカット州

家計所得 6万7276ドル(666万320円)

人口 359万347人〔22番目の低水準)

失業率 8.4%(14番目の高水準)

貧困水準以下の割合 10.7%(4番目の低水準)

→ヘッジファンドが立ち並ぶだけあって、所得が高い!

3位 アラスカ州

家計所得 6万7712ドル(670万3490円)

人口 73万1449人(4番目の低水準)

失業率 7.0%(22番目の低水準)

貧困水準以下の割合 10.1%(2番目の低水準)

→林業や漁業だけでなく、エネルギー関連が強いんです。

2位 ニュージャージー州

家計所得 6万9667ドル(689万7030円)

人口 886万4590人(11番目の高水準)

失業率 9.5%(5番目の高水準)

貧困水準以下の割合 10.8%(5番目の高水準)

→NYのベッドタウンですから、金融から広告など高所得関係者多し。

1位 メリーランド州

家計所得 7万1222ドル(705万980円)

人口 588万4563人(19番目の高水準)

失業率 6.8%(17番目の低水準)

貧困水準以下の割合 10.3%(3番目の低水準)

→国家安全保障局(NSA)のお膝元で、アンドルーズ空軍基地など軍施設が多し。バイオ関連のほか、ワシントン・D.C.のベッドタウンであることでサービス業もさかん。

監視プログラム「プリズム」で話題になったNSA、メリーランドにございます。

nsa

ちなみにワタクシが住むニューヨーク州はといいますと。

15位 ニューヨーク州

家計所得 5万6448ドル(558万8350円)

人口 1957万261人(全米3位)

失業率 8.5%(13番目の高水準)

貧困水準以下の割合 15.9%(22番目の高水準)

→NY市を有しつつ、全米で最も経済格差が大きいだけに中央値が下がります。

日本人の多いカリフォルニア州をみてみましょう。

11位 カリフォルニア州

家計所得 5万8328ドル(577万4470円)

人口 3804万1430人(全米トップ)

失業率 10.5%(2番目の高水準)

貧困水準以下の割合 17.0%(18番目の高水準)

→映画産業は斜陽ながら、IT産業の本拠地という貫禄を示します。

最も貧しい州はといいますと・・。

46位 ケンタッキー州

家計所得 4万1724ドル(413万680円)

人口 438万415人(25番目の低水準)

失業率 8.2%(17番目の高水準)

貧困水準以下の割合 19.4%(5番目の高水準)

→農業から自動車、医療施設、エネルギーへ産業を移行するも道のりは遠い。

47位 アラバマ州

家計所得 4万1574ドル(411万5830円)

人口 482万2023人(23番目の高水準)

失業率 7.3%(22番目の高水準)

貧困水準以下の割合 19.0%(7番目の高水準)

→ホンダやダイムラーの自動車メーカーが組み立て工場を設置し、航空宇宙や工業セクターに進出も所得の伸びは鈍い。

48位 ウェスト・ヴァージニア州

家計所得 4万196ドル(397万9400円)

人口 185 万5413人(13番目の低水準)

失業率 7.3%(22番目の高水準)

貧困水準以下の割合 17.8%(13番目の高水準)

→観光業や小売など、低賃金の職務に従事する割合が高い。

49位 アーカンソー州

家計所得 4万112ドル(397万1090円)

人口 294万9131人(19番目の低水準)

失業率 7.3%(19番目の高水準)

貧困水準以下の割合 19.8%(4番目の高水準)

→ウォルマートが本社を構えつつ、農業が主力産業で貧困率は20%を超える。

50位 ミシシッピ州

家計所得 3万7095ドル(367万2410円)

人口 298万4926人(20番目の低水準)

失業率 9.2%(6番目の高水準)

貧困水準以下の割合 24.2%(全米でワースト)

→2005年のハリケーン「カトリーナ」をはじめ洪水被害が多く歴史的に綿花産業からの脱却が困難で、貧困率は24.2%と全米で最悪。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年9月23日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。