スイスの州で「ブルカ」禁止が決定 --- 長谷川 良

アゴラ

スイスで9月22日、2つの住民投票が行われた。1つはスイス全土で日曜日の営業時間延長の是非、もう一つはスイス南部のティチーノ州でブルカや二カブなど体全体を隠す服の着用禁止の是非を問うものだった。その結果は、日曜日の営業時間延期を問う住民投票は約55・8%が延期を支持。一方、ティチーノ州のブルカ着用禁止では65%の住民が賛成した。


住民投票の結果を受け、営業法が改正され、ガソリンスタンドや高速道路沿のレストランは日曜日も通常の営業ができるようになる。それに対し、スイスのカトリック教会司教会議は住民投票の結果を尊重し、反対しない意向を表明しているが、「日曜日は安息日であり、神との対話の時」という立場から、日曜日の勤労には基本的には反対だ。

欧州のカトリック教国では「日曜日を守れ」といった運動が信者の間で起きている。ちなみに、26カントン(州)のうち、21カントンの国民は営業法の改正を支持。日曜日の営業時間の自由化に反対は、ブリブール州、ヌーシャテル州、ウーリー州、ヴァレー州、そしてジュラ州の5州だけ。

一方、ブルカやニカブ着用禁止を最初に要求したのはテッチーノ州で、スイスで大きな反響を呼んでいる。州国民の約65%が「公共の道路、広場で顔を隠してはならない。また、性別に基づいて他者に顔を隠すように強制してはならない」という内容を支持した。

国際アムネスティは「人権運動にとって悲しむべき日だ」と主張、スイスのイスラム中央評議会(IZRS)は「スイス国内で拡大するイスラムフォビアの表れだ。スイス国内のイスラム系住民を不快にさせ、公共の場からイスラム的な要素を排斥しようとしている」と指摘している。ただし、ティチーノ州がブルカ着用禁止を州法に明記するためには、連邦議会の承認が必要となるため、「実行に移されるまでまだ紆余曲折がある」と予測されている。

スイスで2009年11月29日、イスラム寺院のミナレット(塔)建設を禁止すべきかどうかを問う国民投票が実施され、禁止賛成約57%、反対約43%で可決された。連邦政府は「宗教の自由の尊重」という立場から一貫して建設禁止を反対してきただけに、ミナレット建設禁止は大きな衝撃を投じたことはまだ記憶に新しい。
 
ちなみに、スイスでは北アフリカ・中東諸国の民主化運動「アラブの春」以降、それらの地域から難民申請者が激増し、犯罪が急増してきた。それに呼応して、国民の間で外国人排斥傾向が高まってきた。同国で6月9日に行われた難民法改正を問う国民投票では、現難民法の強化に約78・5%が賛成票を投じている(「外人比率23%の国」の外人嫌い2013年8月14日参考)。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2013年9月25日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。