安倍総理が突如として外交で発信し始めた理由 --- 岡本 裕明

2013年09月25日 13:10

安倍総理がカナダ、アメリカを訪問中ですが、小さな記事にふと気になることがあります。

それは時事通信のこの一節です。
「安倍首相は、(カナダ、ハーパー首相と)内戦下にあるシリアの状況改善に向け、日加両国が国際機関を通じた人道支援で連携していくことで一致したと明らかにした。」


たったこれだけの記事ですが、とても奇妙なのです。日本の首相がかつて外国の国家元首との会合においてアメリカを飛び越えて非アジア圏の外交について踏み込んだことはあまりなかったと記憶しております。しかもこの後ニューヨークにおいてフランスのオランド大統領とも会談をしますが、フランスは「シリアの友人」で中心的存在であることを考えれば安倍首相の国連での演説を前にフランスに事前の根回しをすると考えるのが妥当かと思われます。

安倍首相はニューヨーク証券取引所でアベノミクスを宣伝し、日本への投資を促す点についてはロンドンなどですでに実施済みですのでサプライズの発言があるかどうか分かりません。が、合わせて国連の総会の一般討論演説では日本の立場を世界にアピールするにあたり、シリア問題により深く関わるという気がいたします。

ではなぜ、今、安倍首相がシリアなのか、と考えれば一つはアメリカが機能不全になっているからかもしれません。アメリカは現在、債務上限問題など国内問題でエネルギーを割かれ、外交に回す余力が十分ではありません。そんな最中、更に不思議なのはオバマ大統領がイランのロウハニ大統領との会談を申し入れたものの断られたという小さな報道であります。

イランとアメリカは絶交状態にあり、両国の首脳は30年以上、会合を開いておりません。その状態の中、なぜ、今、オバマ大統領側から会合を持ちかけたのか、という動機に関する疑問とそれをあっさり断ったイラン側のアメリカへの不信と距離感をみるにあたり、アメリカが外交政策でやや、行き詰まりとなっているように思えます。

ご承知の通り、アサド政権のシリアとイランは密接につながっており、もともとアメリカはアサド政権を倒すことでイランへの決定的ダメージを与えるというのがシナリオだったはずです。が、シリア問題はロシアプーチン大統領による平和的解決策の提案が通ったことで計算が狂ったのみならず、ロシアにアメリカのお株を奪われた状態になっているのです。

ある意味、オバマ外交はパワーを失った状態と見受けられます。

そこで持ち上がったのが国連であります。このところ、国連は機能不全と称され、その存在意義を問うような論評もありました。それは常任理事国が一致して決議するという点においてロシア、中国が反対に回るケースが増え、アメリカや西側諸国は国連への期待が下がっていたということでしょうか? 今回、安倍首相が国連総会で演説するというのは日本が世界での地位を改めてアピールするにあたり、シリア問題に焦点を当ててきた、と考えることは可能でしょう。とすれば安倍首相は明らかに外交を通じて日本の地位を確立するための方策に出ていると考えられます。

それはアメリカの従属国から独立性をもった国への進化を考えているのでしょうか?あるいは外交は複雑怪奇ですからアメリカの代わりに日本が前に出ているのかもしれません。

いずれにせよ、日本がパッシングとかナッシングと言われた状態から大きく改善することは間違いなさそうです。安倍首相のプランが国内の経済立て直しから外交に駒を進めているとすれば首相には自身の施策に相当の自信があるという表れかもしれません。

ここまで注目される首相も珍しいと思います。小泉政権は別の意味で目立ちましたが、安倍政権は日本をまじめに捉えている点については称賛に値するのではないでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年9月25日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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