勉強しなくなった日本人

2013年10月17日 22:20

OECDの国際学力調査、PISA調査で、日本の順位が近年急速に下がり、PISAショックと言われている。確かに日本の子どもたちの学力は低下しているようだ。 

この原因として、ゆとり教育が槍玉に挙げられ、見直しが始まっているが、本当にゆとり教育のような政策的な問題が原因で学力が低下しているのだろうか。 

ここでは、学習時間の国際比較を通して、こうした学力低下の原因は、日本の学生が、勉強しなくなったのが、主な原因である可能性について指摘したい。


高校生の勉学に対する意識

まず、日本の高校生の学習意欲は、国際的に見て、どうなのだろうか。

「高校生の学習意識と日常生活」(日本青少年研究所 2004年2月)では、日本、アメリカ、中国の高校生の勉学に対する意識を調査している。その結果は、次のようになっている:

1.勉強について

①学校以外の勉強時間が少ない :「学校以外ほとんど勉強しない」(平日)日本:45.0%、米国:15.4%、中国 8.1%

②勉強に対する態度が怠慢 :「授業中、よく寝たり、ぼうっとしたりする」日本:73.3%、米国 48.5%、中国 28.8%

③勉強に対する規範意識が薄い
「学校をさぼる」ことは「絶対してはならない」:日本:30.8%、米国:49.8%、中国:63.8%

2.日常行動:友達と常に電話やメールで繋がっている。

「友達とほぼ毎日電話やメールをする」:日本:52.0%、米国 30.6%、中国 6.3%
毎日電話やメールをする時間も長い。「4 時間以上」:日本:30.7%、米国:10.5%、中国:3.6%

3.生活態度

現在享楽主義 「いまの生活で何でもできるとしたら、一番したいのは好きなように遊んで暮らす」:日本:38.3%、米国:22.5%、中国:4.9%

「若い時は将来のことを思い悩むよりその時を大いに楽しむべき」:日本:50.7%、米国:39.7%、中国 19.5%

4.家庭ついて
 家庭のルールが少ない

「金の使い方についてルールがある」日本29.6%、米国58.2%、中国70.5%

「門限など時間を守ることについてルールがある」日本46.4%、米国60.8%、中国70.3%

「友人との付き合いについてルールがある」日本11.1%、米国35.8%、中国51.3%

「勉強についてルールがある」日本28.9%、米国54.7%、中国78.5%

となっている。 このように、日本は三国の中で突出して勉学意欲が低く、学習規範意識にも欠けていることが見て取れる。 

学習時間の国際比較

それでは、学習時間はどうだろうか。 日本青少年研究所の2004年の調査:学校外の活動と日常生活時間」(日本青少年研究所2004年調査)では、日本、アメリカ、中国の三国について、中高生の勉強時間を調査している(上が中学生、下が高校生の勉強時間):

勉強時間(中学生)

勉強時間

中学生の勉強時間をみると、日本とアメリカで1時間未満でほぼ半数の生徒が該当する。しかし、中国ではわずか1割に過ぎない。また、日本とアメリカでは1時間から3時間までで約半数だが、中国では2時間から4時間以上で7割弱となる。
日本の特色は高校生ではっきりする。約6割5分の者が1時間未満に集中し、アメリカの4割5分程度より多い。つまり、日本では高校生になると、はっきり学習を放棄した者が多くなることが判る。

とある。中高生の学習時間は、アメリカより少なく、中国の半分ほどしかないことが分かる。

それでは、学習を放棄している層とは、どのようなものなのだろうか。 ベネッセ教育研究所のレポート:「家庭学習時間にみる格差の拡大」を見れば分かるように、偏差値55以上の高校の生徒が学習時間を維持する一方、それより下層の生徒は、学習時間が急速に短くなっている。  
偏差値と勉強時間

大学生はさらに勉強していない

このように、日本の中高生は、国際的に見て、最低レベルの時間しか学習していないし、比較的、学習時間の長い、トップ層だけ見ても、中国と比較して、格段に学習時間が短い。 

これが大学生になると、もっとひどい状況だ。 

アメリカの大学生は、ほとんど一日中勉強しているし、中国の大学生も、アメリカの大学生と同じく、ほとんど一日中勉強している。 私が何回も訪れた、上海の復旦大学の学生の印象も、本当に一日中勉強しているというものだ。 

これに対して、日本の大学生はどうか、というと、NHKが、全国の大学生を対象に調べたら、一日の平均が39分で、1週間の学習時間がゼロという学生も4年生では8人に1人に上るという調査結果が出たという。

これでは、話にならない。日本人は不勉強のために、諸外国と比較して、どんどんバカになっているといっても過言ではない。

最近、政府の教育再生実行会議(座長、鎌田薫・早稲田大総長)が、<国公立大入試>2次の学力試験廃止 人物評価重視に、という提言を行ったが、上のような状況を考えれば、クレイジーとしか言いようがない。

日本の教育に今必要なのは、競争をもっと激しくすることであって、競争を緩和することでないことは、明らかだ。 

それと同時に、学生が勉強に集中できるよう、携帯の使用時間を制限したり、ネットゲームを未成年には禁止したりすることくらいは、すぐにでもやるべきだろうし、多過ぎる大学を整理したりすることは是非必要だ。

日本人が勤勉だというのは、過去の話で、我々は、現在、とんでもない状況に陥っているのではないだろうか。

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