タクシードライバーの厳しい現実

アゴラ編集部

もう20年も前、バブルが弾けた直後のテレビドラマに『都合のいい女』というのがありました。まだ絶好調だったころのフジテレビのトレンディドラマで、脚本は内館牧子、主演が浅野ゆう子。その主人公の女性が、恋人とは別の行きずりの男と不倫関係を持つんだが、その男の職業がタクシー運転手でした。風間杜夫が演じるタクシー運転手は、学生運動体験を引きずり、どことなくセクシーな陰を持つ男。つまり、団塊世代の中年時代、というわけです。タクシー運転手と言えば、マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ主演の映画『タクシードライバー』(1976年)を思い起こす人も多いんじゃないでしょうか。幼いころのジョディ・フォスターも出てたんだが、オトナの魅力のシビル・シェパードが良かったっすね。


で、ドラマ『都合のいい女』の風間杜夫は、明らかにこの映画の主人公トラヴィスを下敷きにしています。学生運動挫折組とベトナム復員兵という共通項があり、薄汚れた都会の狭間でハンドルを握りながら屈折と屈託、そして孤独を抱えて生きている。『都合のいい女』の浅野ゆう子はアパレル関係の派手な仕事をしていたし、シビル・シェパードは大統領選挙の運動員でした。どちらもタクシー運転手との社会的対比、という点を強調しているんだが、特に都市部で走らせているタクシー運転手は、社会の様々な側面を見ることができるようです。

しかし、現実のタクシー運転手の世界は、ドラマや映画のように美女と簡単に関係を持てるほど甘くはありません。この「キャリコネ」では、元サッカー日本代表の前園真聖さんのタクシー運転手への暴行事件などから、危険で不安定な就業現場について紹介しています。この秋の臨時国会では、いわゆる「タクシーサービス向上法案」なるものの審議が始まります。表題のブログは現役のタクシードライバーのもの。自民党の国土交通部会が、タクシー事業者に限定的な「減車」を義務づける法案を了承した、という記事について書いています。この法案は、タクシー新法への下敷き、という位置づけだそうで、数量台数の地域格差を是正する方向ならいいんだが、新規参入を認めないのは論外だ、と反対している。しかし、このあたりのサジ加減を果たして行政がキチンとできるのかどうか、なかなか難しそうです。

タクシー運転手のブログ
減車法案


アンパンマンとジャムおじさん
drinkmeのブロ部
アニメ『それいけ!アンパンマン』の登場人物について書いているブログです。なぜか「母性」を感じさせるキャラがいない。原作である『アンパンマン』の作者の自己投影がそこに現れているんじゃないか、という話。自分の息子を戦場に送った戦時中の母親に対する絶望感がある、というんだが、ちょっと穿ち過ぎな感じもします。もちろん、この作者には「食べる」「食べられる」というプリミティブな生命活動や戦時中の体験などを背景にした社会性がある。しかし、作者に「母性」への何らかの意識があったとしても、登場人物が戦争と関係しているかどうかはわからない。それにしても原作の原型が連載されていたのが『PHP』だったのは意外。ちなみに、個人的にはドキンちゃんが好きです。

ヒマラヤの雪男(イエティ)は古代ホッキョクグマの系統の可能性が高いと言う!
マックンの気まま日記
科学が進歩し、色んな謎を解明するのは基本的にはいいことなんだろうが、夢がなくなる、という側面もあります。このブログでは、DNA鑑定で調べてみたところ、雪男はなんだクマだった、とわかった、という研究結果を紹介しています。それも古代に棲息していたシロクマの祖先かもしれない、とのこと。雪男ならぬ、保存された原始的なクマだったとしても、これはなかなか画期的。ヒマラヤの奥地には、絶滅をまぬがれたシロクマの祖先がまだ生きている、ということです。

ミドリムシが地球を救う!
化学業界の話題
食糧危機、というのは発展途上国でとりわけ深刻です。全人類が必要な食糧は余っている、と言われているんだが、飽食の先進国が余分の食糧を無駄に捨ていて発展途上国に回らず、食糧の偏在が起き、貧困国で栄養失調や飢餓が起きている、というわけ。そうは言っても冷酷無比なグローバル化の資本主義経済で、慈善活動のような食糧援助が大規模に行われるはずもない。この記事では、大きな意味での「昆虫食」つまりミドリムシをエネルギーや食糧にする、という研究開発を紹介しています。「虫」が果たして世界を救うことができるのか、興味深い挑戦です。

マルチタスクによって生じる精神的・身体的問題がさまざまな研究から判明
Gigazine
いっぺんにたくさんのことができる人は特殊な能力の持ち主です。多数の人の言葉を同時に聞き分けた聖徳太子が有名なのは、天皇制の確立期にデッチ上げられた架空の人物だからでしょう。仮に実在の人物だったとしても、超人的な特殊能力を持っていた、とは考えにくい。パソコンも昔は同時にたくさんのことができませんでした。フロッピーへデータをコピーしている間はほかのことができなかった。今のパソコンは違います。同時にいくつものアプリケーションを立ち上げながら、いろんなことができるようになっている。人間の能力は同時にいくつものことができないようにできている。一つのことに集中し、それを終わらせて次の作業に取りかかればいい。この記事では「ながら」行為が、脳や体に影響を与える、と警告しています。


アゴラ編集部:石田 雅彦