名器Nikon F3が復活する日

アゴラ編集部

アナログ時代の35ミリ一眼レフカメラでは、NikonとCanonが覇を競っていました。もちろん、PENTAXやミノルタ、コンタックス、OLYMPUSなんかもあったんだが、例えば報道カメラマンなどのプロフェッショナル分野では、NikonかCanonの二択と言ってよかった。全体的にプロのカメラマンはNikonを選びがちで、新聞社や出版社なども備品カメラの多くを機動性の高い35ミリ一眼レフカメラではNikon製をそろえていました。また、女性を被写体にする「婦人科」はレンズの発色などの点からNikonを選ぶ傾向が強く、一方、Canonを使っているカメラマンは報道やスポーツ系に多かったものです。


NikonかCanonかの二択の理由は、35ミリ一眼レフカメラの特徴の一つである交換レンズ群にあります。一眼レフ用のレンズは高価な上、互換製がほとんどなかったため、一社のカメラシステムに決めてしまえば、なかなか他社製に乗り換えがきかなかった。NikonやCanonはプロ向け部門を充実させ、かゆいところに手の届くようなサービスを提供していたのも大きかったようです。

こうして二社のうち、Nikon優勢で推移していたプロ用アナログ一眼レフカメラの世界なんだが、デジタルになると様相が変わります。もともとコピー機などIT系技術が得意だったCanonは、いち早くデジタル一眼レフカメラの技術を確立。アナログにこだわっていたNikonは出遅れ、アナデジ過渡期であった2000年代のほとんどの期間、35ミリのプロ用デジタル一眼レフカメラをCanonが席巻していました。W杯やウィンブルドン、F1などのスポーツ大会を眺めていると、プロカメラマンが望遠レンズの砲列を敷いています。Canonの望遠レンズは特徴的な「白レンズ」で、鏡胴がほとんど白に近いグレーに塗られているのでそれとわかるんだが、スポーツ大会のカメラ席が真っ白に埋まっていた時期もありました。

しかし、2010年代へ入る少し前あたりからNikonの巻き返しが始まります。画素数や高感度でCanonに劣っていた技術的な劣勢を跳ね返し、むしろ逆転させ、アナデジ転換期にCanonへ移っていたユーザーを取り返すようになる。もともとプロ好みのNikonです。写真学校や芸大時代からNikonを使ってきて、デジタル移行期に性能的にやむを得ずCanonへ乗り換えた人も多い。現状のデジタル一眼レフカメラでは、二社はほぼ均衡状態になったと言っていい。そこへカールツァイスを擁したソニーやPENTAX(リコー)などが割って入る感じになっています。

さて、Canonに奪われていたシェアや評価の失地回復に成功しつつあるNikonなんだが、表題記事によればアナログ一眼レフカメラを彷彿とさせるような新製品が虎視眈々と登場の機会をうかがっているとのことです。Nikon F3やFM2にデザインが似ているらしい。タフで信頼性の高いF3は、今でもファンの間で名器として懐かしむ声が聞こえるカメラです。また、FM2は完全マニュアルの一眼レフカメラで、ボタン電池が電池切れを起こしてもシャッターが切れるという通好みの傑作でした。うーん、Nikonはなかなか「痛いところ」を突いてきます。一眼レフカメラユーザーには、小金を持った団塊の世代も多い。若いころは手に入れることが難しかったF3をデジタルで再現すれば、彼らにかなり強烈なアピールになるのではないでしょうか。

GIZMODO 日本版
FM2? それともF3似? ニコンが昭和チックなフルサイズデジカメを計画中とのこと


安倍総理の本心の見抜き方とアベノロイドミクス
日比野庵 本館
いわゆる「解雇特区」については、官僚と大企業の反対で頓挫した、という話なんだが、安倍首相は今回の案を斥候偵察程度に考えていたようです。小出しにして様子を見ながら、周辺から地固めし、マスメディアの反抗を封じつつ、来年の本格攻勢へつないでいこう、というもくろみらしい。しかし、来年まで「ハリボテ」付け焼き刃の「アベノミクス」が持つのか、ちょっと微妙です。このブログでは、そうした安倍首相の経済金融政策を無理やりにデッチ上げた人工的な「アベノロイドミクス」と呼んでいる。ウソも百回つけば本当になるのか、それとも千三つ屋で終わるのか。これまではラッキー安打が続いていたんだが、今後もツキがあるかどうか、なかなか難しい舵取りになりそうです。

本格派のためのインテリア恐竜オブジェ
roomie
今週末から東京上野の国立科学博物館で「大恐竜展~ゴビ砂漠の驚異」という催しが開かれます。夏休みなどに定期的に恐竜展が行われるんだが、今回は冬休みを挟んだ2014年2月23日まで。目玉は中国やモンゴルのゴビ砂漠で骨や関節が変形せず、かなり全体が残ったまま化石化した恐竜たちです。これまで現地では、漢方薬の原料にしたり化石市場へ売り出したりして多くの貴重な資料が散逸してきました。しかし、中国における恐竜研究も発達し、現地の人への啓蒙活動も行われたりした結果、こうした大規模な展示が行われるようになった。恐竜の全体骨格化石では、欠損部分をレプリカでつないで足したりするんだが、今回のものでは約90%が実物らしい。これはけっこうスゴいですね。

Killer whales may have menopause so grandma can look after the kids
PHYS.ORG
黥類のシャチの「閉経」について書いている記事です。ヒトの場合も祖母が孫の面倒をみたりするんだが、シャチも同じようなことをするらしい。母系集団を形成するシャチでは、交尾のために群の外からオスがやってきます。おばあちゃんと娘が交尾で争ったり、出産のために何世代のメスが同時に子育てに忙しくなるのを防ぐため、ある程度の年齢のメスが閉経する、というわけ。ひょっとすると、母系の社会的動物の多くでこうした戦略がとられているのかもしれません。

タダなら何でも貰おうとする風潮
起業の目
どうも世知辛くなってきたようで、こういうのを読むと、さもしい感じが否めません。ランチで上司におごって貰うくらいならいい。しかし、このブログでは、補助金なんかを当てにして起業しても失敗することが多いんじゃないのか、と書いています。お金については、個々人の考え方が違います。誤解を生みがちなのもそこ。気をつけましょう。


アゴラ編集部:石田 雅彦