日本はなぜドイツのように米国に噛みつけないのか

アゴラ編集部

「情報」というのは、それまで意味のないものと思われていたものが、いつどんな形で利益を生むようになるかわかりません。人間の脳は情報の取捨選択をし、忘れ去る、という便利な機能で物理的容量を確保してきました。しかし今や、ほぼ「無限」の情報量を味噌もクソも一緒くたにデジタル容器に溜め込むことのできる時代になっています。なので、情報の質は問わず手に入れられるデータならなんでもかんでも取っておこう、と考えるのは当然です。それがいつどこで金の卵を産むかわからない。国家規模の情報収集機関の場合、一種のマシンのようなものなので、マシン本来の目的のために邁進するわけです。


米国という国に限らず、国家には大統領でも首相でも手の届かない「聖域」があるようで、それは軍や諜報機関などを含んだ勢力の生息地だったりします。そもそもスパイ行為自体、隠密的にやらなければ意味がない。スパイをしていることは身内にさえバレてはいけないものです。潜水艦、という武器は、そこにいるかもしれない、というだけで敵側の艦隊行動を制限し、一種の抑止力になる。諜報活動も同じで、やってるかやってるかわからないが、確実にその役割を担う組織が存在するだけで自国は有利になります。

元CIA職員のエドワード・スノーデン氏が暴露した米国の諜報活動にしても、別に彼が明らかにせずとも「いずれやってるだろう」という予想の範囲内です。それが確実になったからといって、今さら感は否めない。ドイツのメルケル首相が米国国家安全保障局(NSA)から自分の携帯電話が盗聴されていた、と米国に噛みついたり、フランスの外相が駐仏米国大使を呼びつけ、同様の盗聴活動について厳重抗議したようなんだが、それが本当かどうかは別にして、米国に「噛みついた」こと自体が大きい。独仏がされていたんなら、日本も同じように政府要人が米国から盗聴されていると考えるのが自然でしょう。しかし何の抗議もできず、あろうことか官房長官が「まったく問題ない」と発言したようです。

これを、弱腰、と言うのは簡単なんだが、実際、日本や日本の政府要人が米国から重要な諜報活動先として認知されていない可能性もあります。さらに、こんなことを官房長官が言えば、盗聴を防ぐことはおろか、察知することさえできないお粗末な防諜能力しか持ち合わせていないことをうっかり吐露した、と勘ぐられるでしょう。まさか日本の情報機関がそんなレベルとは思いたくないんだが、遠隔操作ウイルス事件も解明できず、犯人をすっきりと特定できない日本の捜査能力から考えれば、あながち冗談ではないのかもしれません。

新聞紙学的
米の情報監視とEUの100倍返し、そしてシリコンバレーが笑う


有力新聞から飛び出た看板ジャーナリスト、相次ぎニュースメディアを立ち上げへ
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大手マスメディアの組織内にいる、ということは、それだけで入手できる情報量がフリーランスとは格段に違います。だいたい、24時間ベッタリ個別の政党や政治家、行政機関にくっついていられるなんてのは、大手マスメディアじゃないとできません。さらに、記者クラブなんて「特権的」な組織もあるわけで、大手マスメディアの中と外とで環境はまったく変わります。一方、インターネットやIT技術の発達で、同時に効率的に広く浅い情報を手に入れることもできるようになっています。足で稼ぐような情報網がアナログだとすれば、こちらはデジタル的な情報源です。大手マスメディアの中にいる間にそれぞれの記者が自分なりのアナログ情報網を構築し、今のネットによる発信力を利用すれば、組織から出ても一本どっこでやっていけるかもしれません。というようなジャーナリストを紹介しているブログなんだが、これは米国の話。組織の中で定年まで大過なくやり、リタイア後はどこかの大学の教授あたりに滑り込もうともくろんでいる日本の大手マスメディアの記者にこんなマネができるでしょうか。

ハザードマップポータルって知ってる?
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こういうのは随時、知っておくことをオススメします。このブログで紹介されている「国土交通省ハザードマップポータルサイト」などを活用しましょう。自治体によってはURLが変わっていたりリンク切れしていたりする。しかし、先日の伊豆大島の場合、土砂崩れの心配はそれほどない、と言われていました。阪神淡路大震災で「活断層」なんて言葉が一般的になるまで、わりと誰も知らなかったりする。行政や学会の情報は助言程度に考えておく、というのも一つの見識なのかもしれません。自分の身は自分で守るのが基本です。

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将棋にはうとくてよく知りませんでした。こんな「風習」があったんですね。将棋の世界ってのは、女性プロにわりと美人さんが多いことで有名。こないだ「女流王将」になった女子大生もけっこう美形でしたな。一方の囲碁のほうは、と言えば、将棋よりずっと国際的なので母数が多い。数が多ければ美女も多い。たとえば、この「黒嘉嘉(Joanne Missingham)さんとか有名。「囲碁ガール」なんてサイトもあり、こちらも百花繚乱という感じです。

カクテル・パーティー効果
簡単に読めるインスタントブログ
人間というのは自分にとって都合のいい情報しか受け付けません。年齢を重ねるに従って、この傾向は強くなる。それが「年を取る」ということであり、老害なんて言われるゆえんです。人の話に耳を傾けなくなったら、自分は老人になった、と考えたほうがいい。こうした人間の性質を政治的に利用すると、ポピュリズム、というものになる。消費税増税に筋道をつけたが不人気だった野田政権と、景気いいかけ声ばかりの安倍政権の違いもこのへんにあります。


アゴラ編集部:石田 雅彦