変わるIT環境下でキヤノンはどう生き残るのか --- 岡本 裕明

2013年10月30日 11:33

キヤノンが業績見通しについて3度目の下方修正を行ったことが話題となりました。日本ブランドの代表選手として複写機、カメラでその名を世界に轟かせている同社の短期間での下方修正の繰り返しは不気味に感じます。同社の企業体質は極めて強固ですので目先どうなるという話ではありませんが、長期にわたる安泰なる企業はなかなかない、ということを考えなくてはいけないのでしょう。


カナダでは複写機を積極的に使う動きがだんだん少なくなってきています。昔は会議などでも分厚い紙の資料を作ったりしていましたが今ではまず見かけません。プロジェクターと電子ファイルですべて処理するようしているからでしょう。理由は欧米の場合、コスト削減というより環境対策という理由が優先している気がします。

たとえば複写機とは関係ありませんが、株主に送られる決算報告書。日本で半期ごとに送られる各社ほぼ同一フォームの決算報告書はまずストレートにゴミ箱行きとなっています。理由はウェブサイトを通じて電子ファイルで確認できるからです。北米ではこれは選択制となっており、紙を選ぶと分厚い雑誌のような決算報告が送られてきます。始めはこれを受領していましたが読みもしないし、邪魔の上、それこそ、環境にやさしくないということから直ぐに中止しました。

また、これも話が脱線しますが、日本では配当は年1度か、2度。ところがカナダでは多くの会社が年4回配当をします。でもその間、紙の通知は来たことがありません。ネット証券の口座に入金があるだけ。これも不必要な紙の処理を行わない徹底さが行き届いているのでしょう。

印刷といえばパソコンのプリンターですが私の家にはありません。印刷することがないので以前持っていたものが壊れてからは買い換えていないのです。昔は出かける先の地図をプリントアウトしたこともありますが、車にナビ、歩けばスマホで全部代用できます。そういう観点からすれば日本の複写機メーカーは世界市場を制していますが、それが成長産業ではない、ということもそろそろ認識しなくてはいけないのではないでしょうか?

ではキヤノンのもうひとつの顔、カメラはどうでしょうか? 確かにカメラ好きの日本はデジカメを次々と進化させました。一眼からミラーレスへの展開は日本らしいお家芸だったと思います。ですが、市場はスマホについているカメラにより魅力を感じています。それはすぐに転送できて友達とシェアできる喜びでしょうか? 街を歩いていてスマホをかざして写真を取っている人は見かけますが、デジカメ、ましてや一眼となるとあまり見かけなくなった気がします。

市場は世の中で次々と発表される便利でなるほどと思わせる商品にシフトし続けます。結果としてビジネスモデルがそれにうまく合わせられなかった企業は衰退していくことがもはや日常茶飯事となりつつあります。それは日本を代表するキヤノンと言えども私は安泰ではないと思っています。例えば、私ならばウェブの特定のページやエリアを含むコピーがクラウド上の自分のファイルに手軽に入れられるようになれば便利だと思っています(そういうのはもうあるのかもしれませんが私はそこまではチェックしきれていません)。そうすれば事務所のファイリングキャビネットとはおさらばできますのでスペースも節約できるのです。

今後は競争に勝ち抜くだけの資本と強い経営力そして創造力がキーになってくるのではないでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年10月30日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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