極東の軍事バランスを崩しかねない天安門突入テロ --- 岡本 裕明

2013年11月01日 09:54

中国の北京、天安門で車が歩道に突っ込み、炎上、多数の死傷者が出ました。報道ではウイグル系中国人の関与が取りざたされています。中国では人口の9割以上を占める漢民族に対して残りが55の少数民族による構成となっています。ウイグル系中国人は中国の西側でイスラム教が多く、漢民族とはさまざまな生活風習などで相違し、独立運動の芽がしばしばおきているところです。一方、中国としては同地周辺に資源が大量にあるとされ、ウイグルは中国にとり死守すべき地域なことから衝突が頻繁に起きる原因となっています。


さらにチベットなどでも同様の問題が生じており、中国の民族問題の根の深さを表しているかと思います。

この事件でふと思ったのは仮にこれを契機に民族運動が中国西部を中心に活発になってくれば中国の軍備は西側に重点を置かねばならないということです。つまり、東は手薄になりやすくなります。そんなときに何か起きれば今の緊張感を伴う一党独裁体制が軋む音を立てる可能性があることは考慮すべきかと思います。

戦争において戦力はある一方方向に注力し、進駐することでその拡大勢力を更に強めていくのがセオリーであります。たとえば一番わかりやすいのは第二次世界大戦の時のドイツ軍でしょうか? 西からポーランドをあっという間に侵攻した後、ロシアに入り、モスクワにあと一歩のところまで攻め込みました。その際、ドイツと同盟の日本はロシアに東部から攻め入ることになっていました。なぜならロシアは西部戦線で手一杯なため、手薄なシベリアは日本が一気に攻略できるチャンスであったわけです。プランどおりならばドイツがモスクワを陥落し、日本がシベリアから一気にロシアに攻め入るはずでした。勿論、これは失敗します。歴史に「ればたら」は禁物ですがドイツ軍がモスクワを陥落していたらこの戦争はずいぶん違う結果を示していたかもしれません。

先般の中国における反日運動は日本経済、更には日中関係に大きなひびが入りました。しかし、それを煽動したのは中国政府であります。理由は中国国内の経済的格差問題など一般大衆に不満が鬱積し、国内治安の維持が必要になった中、日本にその矛先を向けるという手段が取られたことが一因であることは否定できないでしょう。

中国では情報化とその制御に必死な政府の格闘が見て取れます。国民は「知る権利」を更に訴えてくるでしょう。その際、政府発表と矛盾が生じたり、不正、不公平が見て取れる場合、国民は更なる強い反感を示すことは大いにあるでしょう。つまり、中国西部の問題から中国東部で思わぬ問題に飛び火するシナリオが中国では一番リスクの高いケースだと見ています。

弱体化するアメリカに代わって中国の位置づけは脚光を浴び、重要になってきている反面、国内統制のもろさはまだ相当気になります。習体制がここをどう強化し、確固たる地位を作り上げるかが当面の課題となるのではないでしょうか? それが当面の世界経済の安定でもあるかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年11月1日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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