日本に児童労働は何人いるのか、カカオの国ガーナで考えてみた

2013年11月09日 01:12

出張でガーナに来ている。今回初訪問である素人の自分にとって、ガーナといえばやはりチョコレートだ。大学の卒業研究を夜遅くまで研究室でしていたとき、ロッテの「ガーナチョコレート」を食べて空腹と脳の疲れを癒していた。ガーナはカカオの生産量がコートジボワールに次いで世界2位。日本のチョコレートの70%はガーナ産のカカオが使用されているそうだ。


カカオ生産といえば、安く買い叩かれて生産者に十分に利益が回らないことと、多くの子どもが労働に従事している、いわゆる「児童労働」の問題がよく取り上げられる。これに対するかたちで、生産者に利益がより回るよう高価格に設定したフェアトレード商品も最近は注目されている。

ILO(国際労働機関)によると、世界には5歳~17歳の児童労働者が1億6795万人いるという。この年齢の子ども人口の10.6%にあたる。決して少なくない数字だが、国際機関やNGOの働きかけなどによって、この数は減少傾向にある。

日本の労働基準法では、15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了する日以降、つまり中学卒業の年齢以降からは適法な労働者とみなされる。ただし、それ未満でも13歳以上の者については、労働基準監督署の許可をもとに新聞配達など有害でないとされる労働は認められている。13歳未満、つまり小学生は子役など以外は禁止されている。

ガーナでこんなことを考えていたら、私自身、中学生のときに新聞配達をしていたのは、例外的に認められていたものであったということを今さらながら知った。私の経験からすれば、冬の凍える時期に雨の日も雪の日も関係なしに早朝に起きて配達することは正直辛い部分もあったが、心身ともに鍛えられたし、働いてお金を稼ぐという概念を体で覚えることができ、大変よい経験だったと感じている。そういった機会を提供してくれた親に感謝している。(親がやれと言ったわけではなく、自分から始めたわけだが。)

高校時代も家計を支えるためにアルバイト漬けだったので、これを児童労働と捉えるのかどうはよく分からない。さて、タイトルの「日本に児童労働者は何人いるか?」だが、正直ネット検索しただけではよく分からない。誰か知っている人がいれば教えてほしい。ただ、毎年5千人の中卒就職者のみならず、中学生の新聞配達や高校生のアルバイトまで含めると相当な数にのぼるのではと推測する。中学の新聞配達は私のときもクラスにもう一人くらいいたので、5%くらいにはなるのではないか。高校のアルバイトともなると、感覚的には20%くらいにはなりそうだ。これらは公式的には児童労働と換算されないのかもしれない。小遣い稼ぎでアルバイトをする高校生は児童労働とはいえないだろう。ただ、家計を支えたり、学費を捻出するために働いている人も少ないとはいえない。日本で「子どもの貧困」は15%と言われている。

こう考えると、児童労働が、単に途上国の遠い世界の問題ではないようにも感じられる。もちろん、途上国の児童労働のなかにはフルタイムで長時間働かざるを得ない子どもや、危険労働に従事している子どもも多いし、仲介者を通して家族を離れて働いている子どももいる。一方で、日本には自分の小遣い稼ぎのために働いている高校生も多いだろう。

ただ、児童労働といえば「途上国の子どもたちが搾取されていて絶対許されない!」といった単純な思考だけでは、本質にはたどり着けないのではと感じる。日本でも外国でも、貧困家庭にとって子どもが働くことは大事な生活の糧である現状がある。働かないでも済むような生活保護や奨学金が十分であればよいのだろうが、そういった理想的な国はない。そうであるなら、必要に応じて健全に働けるように環境を整えることが重要なのではないだろうか。

私の高校ではアルバイトすら禁止されていたので、学校には内緒でやっていた。もし校則を守ってバイトしていなかったら、今頃飢え死んでいたかもしれない。今どのくらい高校がバイトを禁止しているか分からないが、一方的に禁止するのではなく、家庭の事情や個々人の意図をよく聞いて、働くことの意味をしっかりと考えさせることのほうが重要であるように思う。

学びのエバンジェリスト
本山勝寛
http://d.hatena.ne.jp/theternal/
「学びの革命」をテーマに著作多数。国内外で社会変革を手掛けるアジア最大級のNGO日本財団で国際協力に従事、世界中を駆け回っている。ハーバード大学院国際教育政策専攻修士過程修了、東京大学工学部システム創成学科卒。1男2女のイクメン父として、独自の子育て論も展開。アゴラ/BLOGOSブロガー(月間20万PV)。著書『16倍速勉強法』『16倍速仕事術』(光文社)、『マンガ勉強法』(ソフトバンク)、『YouTube英語勉強法』(サンマーク出版)、『お金がなくても東大合格、英語がダメでもハーバード留学、僕の独学戦記』(ダイヤモンド社)など。

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