大学入試はペーパーテストに一本化せよ

2013年11月09日 12:01

大学入試改革「人物本位」の選抜にという提言を 教育再生会議が安倍首相に行った。 これに対し、島田先生は、大学入試は要らない、と言われている。 

しかし、私は逆の提案をしたい。大学入試は必要で、ペーパーテストに一本化し、推薦入試やAO入試は廃止すべきだ、というのが私の主張だ。


大学入試は必要

ペーパーテストでは、学力を正確に測ることはできないという意見は古くからあるが、これは半分正しく、半分間違っている。 

確かに、ペーパーテストが出来ても、大学入学後に伸び悩む生徒は多数存在する。しかし、ペーパーテストが出来ない学生が、大学入学後に伸びるのかというと、それは疑わしい。 

例えば、私の専門の数学の研究者の出身高校を見ると、殆ど例外なく、有名進学校の出身であり、大学受験の模擬試験でも、優秀な成績を収めていた人が多いし、高校の勉強以外に、一人で数学の専門書を読んでいたという人も多い。数学以外の科目が全く不得意で、受験で物凄く苦労したという数学研究者も知らない。 

また、最近のセンター試験は、それなりに思考力も見る試験になっており、知識偏重であるとも言えない。二次試験まで見ても、有名大学の試験は、知識の詰め込みだけで乗り切れるとは思えない。

むしろ、現在の大学入試の問題点は、推薦入試やAO入試といった、学力試験を迂回する入試の存在で、こちらの方が、余程、学力による選抜という意味では不平等ではないかと思う。

また、現在の教育が知識偏重というのも、正しくない。基礎知識がなければ、大学入学後も問題が生じる。 実際、高校で生物を学んでいない学生が、医学部に入学したり、高校で物理を学んでいない学生が、機械工学を専攻したりする異常な事態が生じており、大学では、補修授業をしたり、講義の程度を下げるといった対応が取られている。 

私は、高校では理科系に進学する生徒は、物理、化学、生物は全てしっかり学ぶべきだと思うし、経済学部の入試に数学を課さないというのは、全く理解できない。 グラフを書けない、読めない経済学部の学生すら、稀ではなくなっているように思う。

大学入試で、入学してくる学生の学力を一定のレベル以上に揃えておかないと、大学教育は機能しない。 

ペーパーテストによる選抜を敵視するのは、一種のルサンチマンではないかと思う(首相の頭が悪いのではないか、と話題になるのは、残念ながら日本くらいのものではないだろうか)。むしろ、大学入試の受験科目を多くして、ペーパーテストに一本化した方が、競争原理が働いて高校生はより勉強するだろう。実際、現在の日本の高校生は世界で最も勉強していない部類である

大学が多過ぎる

現在のように、受験科目の削減、推薦入試、AO入試が広く行われるようになった背景には、学生集めに苦労する大学が多いという事情がある。

入試科目を少なくすれば、見掛けの偏差値は上がるし、推薦入試、AO入試で沢山の学生を予め合格させておけば、入学試験の倍率は上がり、見掛けの偏差値は高く出ることになる。 推薦入試、AO入試が増えたのは、多面的な学力を見るなどという立派な理由からではなくて、大学、特に私大の台所事情によるものだ。

こんな本末転倒の状態は、是正されるべきだ。推薦入試、AO入試を縮小したり、禁止したりすれば、経営に行き詰まる大学が沢山出るだろうが、それは仕方ないだろう。 

これと同時に、大学教育は、現在のマスプロ教育をやめ、少人数教育を実現し、卒業をもっと厳しくすべきだろう。 卒業生の質を保証せずに、入試要件を緩和するのは、本末転倒だ。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑