米大統領選前の雇用統計に捏造疑惑、米下院監視委員会が調査へ --- 安田 佐和子

2013年11月21日 11:37

共和党が多数派を握る米下院で、疑惑が持ち上がっています。

ニューヨーク・ポスト紙は18日、2012年8月の失業率が8.1%から9月に7.8%へ急低下した背景に、不正調査があったと告発しました。オバマ米大統領が再選をねらうなか選挙直前に失業率を担当する国勢局の調査員が不正を働き、失業率が過剰に改善したというのです。

同紙によると、毎回60万世帯を訪問する担当者全員には9割もの高い回収率が求められるのだとか。条件が厳しいだけに、不正を働く土壌が出来上がっているそうなんですね。しかも全米6地域のうち、ニューヨーク地域とフィラデルフィア地域の回収率は9割に満たなかったといいます。

不正を働いた1人の職員の名前も、ジュリアス・バックモンとはっきり明記していました。また、捏造していた職員も、彼1人だけではないとしています。

そんな驚愕のニュースが伝わった翌日、米下院監視委員会が調査に乗り出すとワシントンの政治紙ザ・ヒルが報じました。共和党のブレイク・ファレントホールド下院議員(テキサス州)は同紙に対し、疑惑は「極めて深刻だ」と言及。国勢局が監視委員会の管轄下にあるため、「徹底的に調査する」と息込んでいます。

赤丸にご注目下さい。過去の数字と比較しても低下幅の大きさは歴然。

unemploymentrate

ニューヨーク・ポスト紙は、デブラシオNY新市長を選挙中に「ソビエト連邦へ帰れ!」(この方いわくビートルズの”Back In The USSR”をもじったんですね)揶揄したことでお分かりの通ようにゴリゴリの保守派タブロイドです。常識的に考えて、仮にジュリアス・バックモン氏以外の数人がインチキ報告を行ったとしても失業率を0.3%ポイントも引き下げられるかは甚だ疑問。とはいえ米下院の監視委員会としては、恐らく政府機関の閉鎖を受け過去最低へ落ちた支持率を取り戻すため、オバマ政権への攻撃の糸口があれば何でも利用する気なのでしょう。

当時の雇用統計を振り返ってみると。

米9月失業率は、市場予想の8.2%および前月の8.1%をも下回る7.8%だった。2009年1月以来の水準へ大幅に改善している。失業者数が前月比45.6万人減と2ヵ月連続で大幅減少したことが寄与しただけでなく、就業者数も8.73万人増と3ヵ月ぶりに増加に転じた。さらに、労働参加率は1981年以来の水準に落ち込んだ前月の63.5%を上回りし63.6%だった。

JPモルガン・チェースのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、失業率の急低下につき、「人口別では満遍なく失業者が減少していたが、特に25歳以下で顕著だった」と指摘。経済的な背景からパートタイムを余儀なくされた雇用者が急増し正社員へ道筋がみえるほか、解雇件数の減少もあり「雇用拡大への移行期にあるのではないか」と推察した。

確かにあの時、ワタクシも「大統領選前に、よくできた数字だなぁ」という実感はありましたけどね。

それより、3月分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表の1日前に金融機関などに誤送信されるとか、今月13日にはイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長の公聴会向け証言原稿が公表されるとのが駆け巡って実際に引け後に公表されるなど、いろいろ怪しい動きが見受けられています。米国防省をめぐり、数兆ドル規模もの巨額不正会計疑惑まで報じられる始末。もっと掘れば、望むと望まざるに関わらずイロイロ出てきそうではあります、はい。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2013年11月20日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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