『POPEYE』12年ぶりのデート特集とクリスマス粉砕デモで考えた恋愛資本主義というフィクション

2013年12月19日 10:05



雑誌『POPEYE』が12年ぶりにデート特集を組んだ。Facebookでつながっているアラフォー男子の間で話題になっていた。もちろん買った。

夫婦で仲良く広げて読んだのだが、率直に違和感しかなかった。私たちは、いつまでこんな恋愛資本主義に踊らされるのか。


10代から20代前半にかけて、私は『POPEYE』と『ホットドッグ・プレス』を両方を、ほぼ毎号買っていた。前者はその後、何度かリニューアルして残っている。後者は一度休刊し、リニューアルしたが、やはり休刊になった。私は圧倒的に後者を支持していた。『POPEYE』独特のリア充臭、おしゃれ臭が苦手だったのだ。欲望を丸出しにした、『ホットドッグ・プレス』の方がフィットしていた。か弱き子羊たちに「ソープへ行け!」と吠える、北方謙三先生の人生相談コーナー「試みの地平線」はもちろん愛読していた。

それぞれ自分の生活とはかけ離れた世界が描かれていたものの、とはいえ、私はこの2冊をよく読んでいた。そこにはキラキラした世界があった。いつか魔法がとけてしまいそうな危うさも感じていたのだが。

さて、『POPEYE』だ。この雑誌は、00年代に入るころから、ファッション誌のようなものになっていたのだが、2012年6月号からリニューアルし「Magazine for City Boys」という創刊当初のコンセプトに戻った。

率直に、面白くなったと思う。年齢不詳の雑誌ともいえ、「男の子」がドキドキするものになったと思う。ハワイやニューヨーク、大人の男子特集などは私も購入したし、大変に面白いものだった。

ただ、12年ぶりという触れ込みの、このデート特集はどうだろう。

おしゃれだ。『ホットドッグ・プレス』的なエロ臭はない。情報も満載だ。しかし、読んでいて疲れてしまった。デートとは、ここまでやらなければならないものなのか。例によって出てくる男女のリア充臭、美男美女臭、カルチャー臭もやり過ぎ感があり、共感できない。いや、おそらく私が単に中年になったからかもしれないのだが。

私たちはいつまで恋愛資本主義に踊らされるのか。

ちょうど昨日、大手広告代理店の方と会っていたのだが、その時にもこんな話題になった。

「恋愛ドラマが、不調なんだ・・・」

よく見ていないので、具体的にはわからないのだけど。恋愛資本主義なんて、所詮フィクションだったのではないか。

そんな中、衝撃のニュースが入ってきた。モテない人の明るい未来を築き上げるべく、非モテ同志の連帯を呼び掛けてきた革命的非モテ同盟が、クリスマス粉砕デモを2年ぶりに決行するというではないか。「米国帝国恋愛資本主義の陰謀に赤と緑と青色ダイオードで血塗られたリア充文化の極みであるクリスマス」(同団体HPより)を粉砕するべく、12月22日に渋谷の街をデモ行進するという。

12月28日にはクリスマス粉砕記念祝賀忘年会なるイベントも開くという。革命的非モテ同盟・革命評議会議長 MarkWate氏の他、赤木智弘氏、イケダオソト氏が登場するという。

クリスマス・イブに入籍した私たち夫婦にとっては、複雑な心境にならざるを得ないムーブメントであるが、恋愛資本主義に対して抗う姿勢を強く評価したい。世の中には、オルタナティブが必要だ。

アラフォー男子の憂鬱 (日経プレミアシリーズ)
常見 陽平
日本経済新聞出版社
2013-12-10



この恋愛資本主義に踊らされた、アラフォー男子の憂鬱をこのたび、赤木智弘氏、速水健朗氏、おおたとしまさ氏と1冊の本にまとめた。かわいそうなロスジェネと言われつつ、「最後のマス」である私たちはどれだけ消費のターゲットにされたのか。ビールを飲む世代として何度も恋愛を描いたビールのCMに踊らされ、ガンダムや90年代ドラマ名曲集を何度も買わされ、「もう一度妻を口説こう」(いない奴も多数)なんていうキャッチコピーに踊らされた喜怒哀楽がここにつまっている。

ユーミンの罪 (講談社現代新書)
酒井 順子
講談社
2013-11-15



先日、このコラムでも紹介した酒井順子さんの『ユーミンの罪』もまた、実はユーミン的恋愛資本主義に踊らされた、日本のキラキラしていて、でも、残念な恋愛の歴史がつまっていたのだと解釈している。



恋愛と言えば、最近ではこの本が話題だ。植島啓司氏の『官能教育 私たちは愛とセックスをいかに教えられてきたか』(幻冬舎新書)である。いわゆる愛人論であり、内容に共感するかどうかでいうとしないのだが、ここには洋の東西を問わず恋愛の歴史、すなわち人類の歴史があり、私たちの恋愛観がいかに浅はかであるかがわかる本である。



恋愛のルールも変わっている。いま、時代はちょいブスだ。オアシズ大久保佳代子やHKT48指原莉乃の大ブレークなどがそれを物語っている。女子力よりもブス力である。そんな実態を紹介した本を出したら、まったく売れなかったのだが。

恋愛のルールは確実に変わっている。黙っていても、恋愛資本主義にはみんながひいていると思うのだけど。

恋愛資本主義というフィクションに踊らされてはいけないのだ。

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常見 陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師

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