「出口」へ向かう米国金融経済の影響を考える --- 岡本 裕明

2013年12月20日 22:42

まずはアメリカの金融の量的緩和の出口政策の実施が決まったことについてコメントせねばなりません。私は出口政策の実施はまだ先と見ておりました。それはイエレン氏のハト派政策と新興国経済の不安定さがよりコンサバな発想にするとにらんでいたのです。事実、アメリカのエコノミスト60人中今日の開始を予想したのは12名のみで半数以上は来年3月かそれ以降とみていたのです。ところがブラジルあたりからは不安定で宙ぶらりんの状態を長くされるとより市場に悪化するので早く出口政策をせよとの声もあったということでした。なるほど、それも一理あります。


量的緩和政策からは離脱する方向であるもののゼロ金利政策はより長く続けるということのようですから、ある意味、バーナンキ議長は1月の退任を前にイエレン次期議長にレールを敷いたということでしょうか? ちなみにバーナンキ議長のインタビューではゼロ金利の目処は2015年後半としていますが、あくまでもそのときの各種指標次第とのコメントを述べています。

イエレン氏は今後、国債の買い入れプログラムを漸次減らしていき、失業率やインフレ率がFEDの思惑の通りになった時点で金利に着手するというシナリオかと思います。そう考えれば金利に手をつけるのは2015年から16年とかなり先ですから2年ぐらいは政策的に安泰な時が来るともいえ、逆に市場にとってはよりあふれるマネーが世界を徘徊するということになるでしょう。

では市場。結果を見てニューヨークの株価は300ポイント以上の大幅上昇をしています。また、ドルは円とユーロに対して急騰となっています。株式市場は噂で売って事実で買うという行動に出ているようです。

さて東京市場をみてみましょう。昨日、一足先に日本の株式がようやく覚醒したような動きを見せ始めました。理由はほぼ明白です。まず、減税を取り込みたい個人の売りがほぼ完了しつつあることが上げられます。これは証券優遇税制が今年末で終わるのですが、その最終取引は12月25日、三連休もあることからほぼそのピークは過ぎつつあるとみるべきでしょう。個人投資家にとって税率が半分で済むというのは実に魅力的であり、それもあって今年は個人投資家の大幅な売り越しが特に目立ったということかもしれません。

次に年明けからのNISAですが、その実質的な相場上の動きは26日から始まります。よって、多くの株式専門家は26日からの大幅高を想定しています。私もそう思います。チャートからすれば早い時期に日経平均17000円程度のところまではいけるのではないでしょうか? 18日の日経平均の大幅上昇はその先読みでFEDの決定はどちらに転んでも日本の株価にはプラス反応と読み込んでいたはずです。

日本の株式を大きくサポートするもうひとつの理由は中期的な円安傾向が見込まれるということです。専門家の見方は2014年に115円から117円程度を予想する人が増えていますが、これも妥当な想定かと思います。主要通貨であるドル、ユーロ、円の関係を見ると今後、量的緩和からの離脱を鮮明に見せてくるアメリカに資金が回ることになり、引き続き、立ち直りつつあるユーロも腰が強くなると見られてます。一方、日本は個人消費と公共投資はよいものの設備投資と輸出が足を引っ張っている状況が続きます。更に黒田日銀総裁が強く推し進める2%のインフレを2年で達成するための更なる金融緩和への追加対策はほぼ確実視されています。よって、円が当面強くなる状況にはないということになります。

円安が進むことによる輸出業者のメリットですが、製造業の地産地消がグローバルなトレンドであり、円安が必ずしも輸出業者のためになるとは限らない時代になってきたことを挙げておきましょう。つまり、あまりにも円安が急激に進むと輸入物価の上昇に対して貿易収支の改善は見込めず、結果として日本の経済にはよくないということに気がつくはずです。

言い換えるとモノは輸出から現地生産、ところが人は輸出できず、円安で高い輸入物価にさらされ、景気の回復の足かせになるというシナリオが必ずどこかで出てきます。今は円安万歳の雰囲気がありますが、2014年はその変化に注意深く耳を澄ませることが重要かと思います。

金融緩和の離脱時期については予想が外れましたが、アメリカの長期にわたるゼロ金利のコミットは結果としてはプラスに働くことになるでしょう。少なくとも市場参加者にとっては良い年末が期待できそうです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年12月19日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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