マクドナルド対コンビニの垣根を越えた戦争が始まっている

2013年12月23日 12:30

マクドナルドが2013年12月期の業績予想を下方修正したことが話題になっています。売上高は従来予想から50億円減の2600億円ですが、経常利益は同95億円減の100億円に見直しています。前年と比べると経常利益はマイナス48.7%でほぼ半減という厳しい決算になりそうです。
マクドナルド 利益半減の驚愕 | 東洋経済オンライン
原因は円安によるコスト増かともいわれていますが、それよりも深刻なのは今年になって始まった顧客離れです。とくに7月以降はその傾向が顕著になり、直近の10月は対前年同月比で13.9%減、11月は14.4%減とさらに既存店の客数を減らしています。


東洋経済の記事によると、日本マクドナルドホールディングスの今村朗執行役員は「第1四半期(2013年1~3月期)から続く客数の減少を過小評価する一方、プロモーションの効果を過大評価してしまった」との反省の言葉を述べていらっしゃるようですが、原田CEO体制から、カサノバ新CEO体制への転換では解決しない根深い問題がありそうです。

客数減は、あきらかに顧客の流出が始まっていることを示しています。

ではどこに流出したのでしょうか。

外食チェーンでなにか競争関係で大きな変化があったのかもしれません。確かめてみましょう。

まずは、日本フードサービス協会が集計した外食チェーン全体とファーストフード・チェーンの月次情報と、マクドナルドの月次情報を比べてみます。外食チェーン全体、またファーストフードのチェーン店も7月以降に客数が減ってきていることがわかります。外食産業冬の時代に入ってきているということでしょうか。
しかし、マクドナルドはそれよりも落ち込みが大きいことがわかります。日本フードサービス協会のデータは全店の客数、マクドナルドは既存店の客数なので、やや数字が大きくでることを考慮しても、マクドナルドの客数減は業界水準よりも厳しいといえそうです。
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次に、ファーストフードでは、洋風・和風・麺類・持ち帰り米飯/回転寿司、その他で分類されているので、7月以降に客数が増えている分野がないか見てみました。なんと和風のファーストフード、麺類のファーストフードは客数を伸ばしてきているのです。
客数の落ち込みが大きかった10月を見ると、和風のファーストフードは6%増、麺類のファーストフードは5.5%増と順調に客数が増えています。
このカテゴリーには素材にこだわり立ち直ったリンガハット、牛丼戦争でゼンショーに狙い撃ちされ一人負け状態から見事復活し、10月は既存店の対前年比で12.2%増、11月も9.3%増と好調な吉野家、さらに丸亀製麺が元気です。

しかし、ファーストフード全体としては逆風が吹いており、そういった和風や麺類のファーストフードがマクドナルドの顧客を奪ったとは考えづらいのです。

それよりももっと考えられるのはコンビニとの競争です。コンビニの弁当やサンドイッチ、またパンや惣菜などとの競争で、もっとも競合しやすいファーストフード、とくにマクドナルドが影響を受けてきているのではないでしょうか。コンビニの弁当やランチ、パンや惣菜などは日配商品といわれていますが、昨今はPB化で内容が充実し始め、売上を伸ばしてきています。

マクドナルドの全店売上高の前年比較での増減と、コンビニの日配商品の前年比較での増減を見ると、マクドナルドの不調とコンビニ日配商品の好調ぶりが対照的です。今年の夏あたりからは、まるでワニの口が広がるように好不調がわかれています。
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さまざなま種類が選べ、しかも質がアップしてきたコンビニの「中食」にマクドナルドは顧客を奪われてきているのでしょう。つまり、顧客を惹きつけ、マクドナルドに足を運んでもらう魅力づくりに失敗しているということとも考えられます。
元気なファーストフードはカテゴリーやメニュー、また特徴で独自性をつくっているので、この競争に巻き込まれていないのでしょう。

ファーストフード業界は、台頭してきたコンビニの日配商品との競争が前提となった時代にはいってきて、コンビニから顧客を取り戻す魅力づくりが中心課題になってきています。

マクドナルドが深刻なのは、仕組みが完成していることです。あるいはプロモーションなどのオペレーション力も高いことです。それらの改善では結果がでなかったということは、新鮮な驚きを感じ、顧客を吸引するパワーのあるメニューづくり、あるいは路線の大きな転換が求められているのでしょう。
もはやハンバーガーやサイドメニューのバリエーションだけでは厳しいのではないでしょうか。あるいは日本市場では縮小を前提として経営の健全化をはかり生き残るをはかることになってくるのでしょうか。

コンビニの外食を取り込む流れはまだ始まったばかりかも知れません。それは北海道のセイコーマートがホットシェフとして、店内調理を展開し、お店によってはイートインのコーナーも持って成功していることを見れば容易に想像できます。ローソンなどがセイコーマートを模倣しようチャレンジしているのですが、セイコマート以外ではまだ成功していない分野です。
しかし、セブンイレブンなどのコンビニが、店内で淹れるコーヒーの成功をさらに広げ、セイコーマートのように店内料理に力を注いでくれば、さらにコンビニは、ファーストフード業界との競争で優位になってきそうです。

マクドナルドが、そういったコンビニとの競争時代に、どんな魅力ある新しいポジションづくりにチャレンジし、競争力を再構築してくるのか目が離せなくなってきました。
「マクドナルドにでも行くか」から「マクドナルドに行きたい」という魅力づくりの問題ではないかと感じます。

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大西 宏
株式会社ビジネスラボ代表

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