エネルギー政策を都知事選に利用するな --- かわにし のりひろ

アゴラ

「殿ご乱心」といわれるように東京都知事選に細川氏まで出るような様子ですが、原発反対と都政を一緒にするなど、本当にご乱心である。

その発端は、秘密保護法が国会で審議、採決された昨年12月に、経済産業省の総合資源エネルギー調査会・基本政策分科会っていうところで、エネルギー基本計画の素案というのが示されたのであります。私は個人的に非常にいい素案だと思うのですが、どうも反対派の人たちにはとんでもない内容みたいです。

今回の基本計画の大きな前進は、決定プロセスをしっかり示したことである。民主党政権下で何も調査会・政策分科会を通さずに、2030年代に原発ゼロにするといった、議会制民主主義国家の根底を覆すようなやり方が否定されたことにある。


今までの調査会・政策分科会などの専門的な考え整理を受けてパブコメでその道筋を修正するという従来の方法を何の手続きもなしで、世論調査型パブコメ元に原発ゼロが圧倒的多数だという方向にしてしまったこと、御用学者などという言葉を使い、反対派などは政策分科会に入れないなどというデマまで流して決定プロセスがおかしいとのでっち上げの民意を作って誘導したものが正しい姿に戻ったことが本当によかった点である。

本来政治がやるべき仕事はこのような話でなく仕組みがおかしいのであれば、仕組みをしっかり法整備で変更して議会で承認されて活動していかないといけない。専門家がなぜ必要で調査会・審議会などの仕組みがあるのかを理解すべきだとは思う。反対派の方々は、やっぱり御用学者が決めて民意軽視などという意見が多いが、これが現在の法治国家日本のやり方であるので、先の戦争突入の原因からも政治パフォーマンスとマスコミ誘導で一時の感情で判断を間違えるようになってない仕組みでもある。本当に反対派の人は政治活動して政党をつくり政策を掲げ、議会での過半数をとることが本当の運動である。

主要な政策は、原発の依存度を可能な限り低くするとしながらも、安定供給、コストの低減、温暖化対策の観点から、安全性の確保を前提にして、原発を重要なベース電源と位置づけ、原発の再稼働に前向きな姿勢を明確にした。それと民主党政権下では、原発の新設・増設は行わないなっていた表現も見直されて必要な規模を確保するとなって事実上の新設・増設も認めた表現になっている。一言で言うと再稼動容認であるけど、ここの詳しい審議内容にはかなりの技術討議があり、専門家の意見的には概ね良好な意見である。

全体の電力供給に占める電源別の構成比率についても、現時点で原発の再稼働が見通せないという理由で示さない方針にしていることも大きな努力点である。ベース電源としての原子力の優れた点は認めつつも、省エネなどの効果が非常に高いので、構成比率みたいな無意味な論争をさけているのもいい点である。反対派の人は、極端であるが省エネもしくは電力なし生活をしていただければ、原発の稼動は止められるということだ。

よくこの点でも電力が自由に買えないからだということを理由にする人がいるが、そもそも電力会社の作ったインフラであるので、彼らが優先的な話は理解しないといけない。冷たく言えば反対派は、電力会社からの送電線を切断して生活をして生活をすればいいのである。その賛同者が多ければ、原発ゼロは実行できます。反対運動としてやられたらいかがでしょうか

また、使用済み核燃料については、国が前面に立って、最終処分に向けた取り組みを進めるという問題を先送りにしない姿勢も明確になり、最終処分場に関しても公募みたいなやり方でなく、国が適した場所を示す方向に変更された。候補地は推測の通りかもしれないが、しっかり問題の先送りをしない姿勢が出ていて判りやすいのとやれない技術でないことも実証できたのであろう。

この方針は、国が責任をとって原発問題を解決していくとの大きな表れを示すものであり、非常にわかりやすい方向である。国民が省エネや再生可能エネルギーなどをうまく使えるようになってくればベース電源としての原子力の役割は終わり、その資産償却や使用済み核燃料などの処理を最終的には国有化した日本原子力発電などの企業に集めてその分の費用は電気代に上乗せして作業を推進するスキームにすれば安定的な運用なるのである。またその運用、移行もスムーズに出来る。

非常に判りやすく、責任も明確になった今回の調査会・政策分科会の意見でありますが、即時原発ゼロの方々にはどうも納得しないみたいであります。都知事選とまったく関係がないのですが、このような形でまたエネルギー政策を政治パフォーマンスに使うのはやめて欲しい。

かわにし のりひろ
会社員 コラムニスト 
マルハビ日記