バロンズ誌恒例、重鎮10名による2014年マーケット予想 --- 安田 佐和子

2014年01月20日 13:53

バロンズ誌、今週はマーケットの重鎮10名がラウンド・テーブルに集まって2014年を占った内容をフィーチャーしています。侃々諤々の議論を闘わせた面々にはPIMCOのビル・グロス創立者兼共同最高投資責任者(CIO)をはじめ、ゴールドマン・サックスのシニア米国投資ストラテジストであるアビー・ジョセフ・コーエン氏、デルファイ・マネジメントの創始者であるスコット・ブラック氏のほか、破滅博士(Dr. Doom)との異名をもつマーク・ファーバー氏、スーパーマリオと称されるギャムコ・インベスターズのマリオ・ガベリ会長兼最高経営責任者(CEO)などが並びます。

毎年恒例の出席者、ファーバー氏は去年欠席した後に戻ってきました。

PANEL

(出所 : バロンズ誌)

以下、ディスカッションの重要ポイントをざっくりご紹介いたします。

Fedの政策

強気派と弱気がミックスするなかで、PIMCOのグロス氏は「ユーロダラー先物は2018年初めまでにFF金利が3-4%へ上昇すると織り込んでおり、すなわち2015年初めの利上げを予想している」と指摘。しかし、こうした織り込み度は行き過ぎで、マーケットの予想が的中確率は「ゼロに近い」と分析していました。コーエン氏も、「イエレン新FRB議長の過去のレポートや見解を振り返ると、中低所得者層が雇用の伸びと賃金上昇を確認する必要がある」ため、第1弾の利上げは市場の織り込み度より先になると予想しています。

米国債

グロス氏はイエレン新FRB議長が折り紙つきのハト派と判断しており、資産買い入れ終了後も低金利が継続すると予想するため、米債利回りの上昇を抑えられると論じています。スイスに拠点を置くズラウフ・アセット・マネジメントの創業者兼社長のフェリックス・ズラウフ氏は、フランス10年債利回りの米10年債利回りを50bp下回る点を挙げ債券相場の水準が適正ではないと指摘。仮にドル高が維持すれば、アービトラージにより米債利回りに下方圧力を与えると見込んでいました。同見解を受け、グロス氏は「円安が緩やかであれば、日本人投資家にとって米国債が魅力的な投資先となる」ともコメントしています。

米経済

コーエン氏はGSの見解として、2014年の成長率を3.3%と予想。2013年1月から実施した給与税減税終了など税負担効果がはく落するほか、内需と労働市場の改善シナリオを描いています。反対にデルファイ・マネジメントのスコット・ブラック創業者兼社長は、「2010-13年の実質成長率は1.8%と第2次世界大戦後以来の低水準で、2014年に3%台を回復するとは予想していない」とコメント。7-9月期GDPも在庫投資のかさ上げや住宅市場が支え政府支出は減少しており、3%台は非現実的と主張していました。

株式相場

ガベリ氏は、2014年のカギを握るのは「Fワード」と指摘。すなわち、Fracking(水圧破砕)であり、シェールガスあるいはシェールオイルのエネルギーを押し上げ雇用を拡大させると見込んでいます。また金利上昇、株価上昇、会計基準の変更に伴い、年金への現金振り向けを減らし現金保有が拡大する結果、企業が自社株買い、増配を行うだけでなく成長をねらい設備投資、研究・開発、企業買収などへ手を伸ばす見通しだといいます。なお2013年に企業は自社株買いに5000億ドルつぎ込み、これはS&P500の時価総額の20%、Fedによる資産買入総額の50%、社債発行高の75%に及ぶ水準でした。一方でブラック氏は、ここでも慎重寄りスタンスを維持。2014年のS&P500のアナリストによる1株当たり利益予想平均が前年比13%増の121.48ドルであることに対し、「馬鹿げている」と一蹴。同氏は「116ドル」とし、足元の株価収益率が15.9倍と長期的な平均値16倍に近い現状で妥当と判断しています。

一連の議論で、2014年のマーケットを端的に表現したのは、イーグル・キャピタル・パートナーズのゼネラル・マネージャーであるメリル・ウィットマー氏のこの言葉——「市場は恐怖より強欲が勝っているようにみえる」。どおりで米株相場、年明けから急落する場面でも25日移動平均でしっかり支えられるわけですね。

日本に対しては、ハイテク・ストラテジスト編集長のフレッド・ヒッキー氏とズラウフ氏が慎重な見方を披露していました。黒田総裁率いる日銀の政策の超緩和政策で輸入インフレを招き、上半期は失望的に終わると予想しています。

中国には、さらに悲観的な意見も。コーエン氏こそ「7.7%増」を予想するものの、ズラウフ氏は「3-4%増」ファーバー氏も「4%増」とさすが弱気派らしい数字を叩き出していました。成長の主軸を投資・輸出型から内需主導に切り替える段階にあるとはいえ、バイロン・ウィーン氏の10大ビックリ予想より大胆な見方で目からウロコです。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年1月20日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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