FOMCは予想通り100億ドルの追加減額でも、米株安の謎 --- 安田 佐和子

2014年01月30日 10:38

米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文が公表されました。大方の予想通り、100億ドルの追加減額を決定。フォワード・ガイダンスも変更してきませんでした。

しかし、米株は一段安で引け。なぜなんでしょう?

以下は、ダウ平均・日足のチャートです。

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謎を紐解くために、FOMC声明文公表後のレビューをご覧下さい。

JPモルガン・チェースのマイケル・フェローリ米主席エコノミスト

「FOMCは、債券購入枠につき追加として市場予想通り100億ドル減額させた。世界を駆け巡った金融市場の緊張には、一切触れず。失望的に終わった米12月雇用統計への反応も労働市場の文言をわずかに変更するにとどめ、むしろ経済全般の見解を上方修正させている。今回の結果で、大きなサプライズを与える経済指標が出てこない限りFOMCは会合ごとに100億ドルを縮小させるスタンスを確認した格好だ。」

BNPパリバのジュリア・コロナド米国担当主席エコノミスト

「 FOMCは、エマージング通貨安が波及したものの、粛々と買い入れ縮小を続けるスタンスを貫いた。予想通り資産買入につき100億ドルの減額を決定し、しかも2011年6月以来となる全会一致だった。米12月雇用統計・NFPの就労者数が大幅鈍化したため労働市場の文言をやや下方修正したものの、経済全般に対する文言は『上向いてきた』と明るさを増しており、エマージング通貨の下落は政策決定にさして大きな影響を与えなかったようだ。

声明文の公表とともに、今回NY連銀は翌日物リバースレポ・ファシリティの延長を決定した。2013年9月から試験運用を開始しており、今週末に終了する予定だったところ、2015年1月までに変更。上限額も従来の30億ドルから50億ドルへ引き上げた。オペ金利の上限は、0.05%で維持した。なおFOMCは2013年12月時点に10億ドルから30億ドルへ引き上げていた。」

WSJのジョン・ヒルゼンラス記者

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFed番であるジョン・ヒルゼンラス記者は、声明文公表から数分後に726ワードの短い記事を配信した(後に加筆されている可能性があります)。記事では、「失望を誘った米12月雇用統計に加え、最近のエマージング市場の混乱すらも米経済への前向きな見通しを変更させるに足らなかった」と指摘。リバースレポの延長と上限増額にも触れた。

共通するポイント、お分かりですか?

そう、エマージング通貨急落について一切触れていないんです。

ひとつ言えることは、エマージング通貨安に無頓着なFedへの失望売りが入ったと考えられます。米債が一段高で引け為替も円買いで反応ししリスク選好度が低下した様子をみると、整合的ですよね。

もうひとつは、新FOMC体制への懸念。

ここで思い出していただきたいのが、前日お届けしたCNBCによるFedサーベイ。サンプル数が極端に少ない点が玉に瑕とはいえ、FOMCへの政策運営に対する懸念として「タカ派寄りになる」リスクを挙げていました。タカ派寄りへの懸念が言い過ぎなら、FOMCによる政策決定の柔軟性欠如を憂慮し始めたのかもしれません。

恐らく市場の思惑とは別にFOMC、今回はバーナンキFRB議長最後の会合とあって「立つ鳥後を濁さず」よろしく変更を加えることを避けたのでしょう。イエレン新FRB議長、フィッシャー新FRB副議長に引導を渡したとも言えます。

FOMCメンバーは去り行くバーナンキFRB議長に2011年6月以来の「全会一致」の決定をプレゼントしたのに、マーケットの餞別が米株大幅安というのは、皮肉ですね。

いずれにしても、ダウ平均とS&P500は75日移動平均線、NASDAQは50日移動平均線が抵抗線になってきました。

ダウ平均が短期的なメドである一目均衡表の雲の下限15500ドル付近で下げ止まらなければ、米債務上限引き上げ交渉難航や米1月雇用統計大コケで一段安の懸念がくすぶります。そうなれば、2013年10月の安値14700ドル付近が視野に入ってくるでしょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年1月30日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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