脱原発の意味をつらつらと考えてみる --- うさみ のりや

2014年02月02日 15:38

都知事選の当事者ではなくなったけれど、せっかくなので東京の今後に関する話をしばらく考えていきたいと思います。まずは「脱原発」です。

とりあえず平成24年度の東京電力の発電の状況を調べますと、「総発電量:2956億kwh、電源別構成比:原発0% LNG火力62%、石炭火力11%、石油火力19%、その他ガス火力1%、水力6%、新エネ0%」というところです。

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よく原発反対派の方が「現在でも原発が動いていないのだから既に脱原発は出来ている」ということをおっしゃるのですが、それは見方によってはおっしゃる通りな訳です。ただ、東京電力には現在までで4.6兆円(資金の交付: 3兆5882億円、株式の引受け: 1兆円)もの公的資金が投入されていて、さらに公的資金の注入枠が5兆円→9兆円に拡大されるわけですから、これはとても持続可能とはいえません。

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決算上もかろうじて国からの資金投入で黒字を確保している状態ですが、実質は年間1兆円以上の赤字を垂れ流している状態です。当然国としてはタダでお金をやるわけではありませんから、注入した公的資金は返してもらうスキームとなっています。で、どうやって返すかというと電気料金しかありませんから、このままだと電気料金が怒濤の如く上がっていくことが予測されます。とりあえず第一弾として昨年9%弱の値上げがありまして、おかげで今年の第三四半期の決算を見ると電力料金収入が0.5兆円改善して、第3四半期まで4.7兆円(昨年は4.2兆円)とのことでした。通年なら単純計算で0.7~0.8兆円程度の増収ってことですかね。これで少なくとも原発停止後発生した0.3~0.4億の経常赤字は解消することが出来るようになったので、今期は500億程度の黒字を確保できるようになりました。特別損失がとんでもないことになっているのですがね。

PN2011042101000185.-.-.CI0003原発賠償スキーム

(http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011042001001227.htmlより)

かりに東電が今後9兆円の公的資金の枠をフルに使うとして、これを15年程度で返却すると考えると、年々6000億程度の返済負担が生じることになります。これを返済するには6000億のコスト削減をするか、電気料金の値上げをするかのいずれかが必要で、コスト削減の手法が即ち原発の再稼働なわけです。そんなわけで「脱原発」とは何を意味するかというと、端的には年間6000億円分の公的資金の返済を、原発の再稼働によるコスト削減ではなく、電気料金の値上げで果たす、ということになります。この前の値上げの実績を考えると、だいたいあとkwあたり3~4円程度の電力料金の値上げして、最低でも22~23円/kw程度ということになるんでしょう。

当然他にも為替リスクや中東の地政学リスクや原油・天然ガスの高騰リスクが増大する、という話もありまして原発の安全神話を否定しておいて中東がいつまでも安全であるだとか、日本の為替水準がいつまでも安定的だとか、原油・天然ガスの値段が上がらないだとかそういう安全神話を信じてしまうのは個人的には???、なわけですがその辺は神学論争になるので、電気料金の話についてはまた別の機会にでもまとめます。

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「うさみのりやのブログ」2014年2月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はうさみのりやのブログをご覧ください。


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