課税はどこまでも追いかけてくる --- 岡本 裕明

2014年02月12日 10:27

土曜日の日経のトップ記事に「海外口座情報 得やすく 課税逃れ防止、G20で合意へ 国税当局間、オンラインに」とあるのですが、一般の人にはあまり注目されなかったかもしれません。しかし、この記事はある意味、税体系について画期的な変化をもたらす可能性があるかもしれません。

日本の企業の7割が税金を払っていない、というのは麻生大臣が述べていたと思うのですが、それは上場企業でない限りどうしても美しい財務諸表を作るという目的意識に欠けていることがあるかもしれません。非上場企業において利益が安定的に出ており奇妙な未収、未払、不良資産もない立派な財務諸表を見せるケースは主には銀行からの借り入れの審査ぐらいではないでしょうか? ありそうでなかなかないのが中小企業のおっと思わせる財務諸表でそれなりの苦労の跡形は見る人が見ればわかるものです。


事業主からすればいかに税金を払わないようにするか、というテクニックは大きな意味をなします。その恩恵にもっとも浴せるのが政治家、医者、宗教法人と言われています。つまり、本来「先生」と称される方々が税金を払わない一定の特典を持っているのになぜ一般民が運営する企業がその特典に預かれないのかという発想ができなくもありません。

そんな日本の税制は例外規定、除外、更には控除から規定すらないものを含め、税額を下げるための隠し技だらけです。一定のルールを知っていれば税金がかなり安くなる方法はあるようなのです。ところがこれが行き過ぎると合法上の節税からグレーなやり方、さらには脱税という所得隠しまで様々でエキストリームなケースが出てくるのですが、気を付けなくてはいけないのは一般民にとってどこまでが合法でどこからがグレーかという線引きが案外、明白ではないこともある気がします。

ところで、個人ベースの場合、日本が2015年から導入する相続税率の見直しに伴い、それを回避するために様々な方法を考える人も多いでしょう。日本にはとてつもない金持ちはいるものです。多分IPO絡み、不動産絡みが多いと思います。開業医は税金的には恵まれてますが、昔ほど爆発的には儲からないようになってきてると思います。

私の知り合いで多分最低でも20億近くの資産を持つあるIPO長者は娘に資産を相続させるために涙ぐましい努力をされているのですが、その手法の一つが海外であります。村上ファンドの村上世彰氏も資産をシンガポールに移して話題になったと思いますが、海外に資産を持っていくというのは一見、税金を逃れるにはなかなか巧妙な手口だと思われるでしょう。しかし最早、これはかなり難しい状況になってきています。

海外への資産逃避を許さないとする国税の対策強化は、武富士事件で巨額の相続税に伴う追徴金について最高裁で国税が敗北し、400億円もの金利までおまけにつけて武富士の相続一族にお返しした事件もトリガーのひとつだったと思います。そのうえで昨年からは海外資産のディスクロージャーが始まり、ついには冒頭の日経の記事に至るわけです。この記事によればイギリスがこれに加わることで英領のタックスヘイブン地域も含まれ、いわゆる「節税(脱税?)のスペシャリスト」にとって今後、極めてその手法が限られてくるということになりそうです。

税金は逃れられるか、という質問に私の今までの経験などを踏まえて一言で答えると限りなく「不可能」ではないかと思っています。日本はどれだけの税金を逃れてきても最終的にその人が死んだとき、相続税という形で取られる仕組みが整っています。国税はしっかりしています。ならば増税という手法よりも特定の控除枠など「おまけの絞り込み」の方が税収アップにつながる気も致します。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年2月12日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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