企業のスイテイクホルダー間の利益考量

2014年02月18日 16:00

企業経営においては、まず、最初に売上がある。なぜ売上があるのかというと、顧客がサービスなり商品なりに価値を見出すからだ。社会に価値を提供できない限り、売上は立たない。


次に、売上には原価がある。原価を構成する要素は様々だろうが、代表的なものとしては、商品や原材料等の仕入先企業、部品等を製造する下請企業などに対する支払いがある。仕入先や下請の協力企業などに原価を支払った残りが総利益だ。

そして、総利益から販売管理費などの内部経費を支払うと、残りが営業利益になる。販売管理費等の大きな部分が人件費だ。

さらに、営業利益から金利等の金融費用を払うと経常利益になる。最後に、この経常利益から税金を払った残りが純利益である。この最終の純利益が株主に払われることになるわけだ。

企業のステイクホルダーとは、単純化すると、上の収益分配に現れるとおりに、顧客、協力企業、従業員、銀行、国税庁、株主という順番で存在している。さて、これら、ステイクホルダー間に、利益は公正公平に配分されているか。ここに、全ステイクホルダーの視点に立つ企業統治論の中核がある。

「貸渋り・貸剥がし」などといわれることは、銀行と他のステイクホルダーとの間の利害対立のことである。「派遣切り」に象徴される雇用問題は、従業員の犠牲です。「下請けいじめ」とは、協力企業の犠牲です。「偽装」とは顧客の犠牲です。これらの社会問題化している現象は、企業統治におけるステイクホルダー間の利害調整に帰着するのである。

問題の鍵は、顧客、協力企業、従業員、銀行、国税庁、株主という順番にある。株主は最後である。損益計算書の最下行にあるのが株主の利益である。貸借対照表の最下行にあるのが株主の持分である。

実は、経済的には残余に与るに過ぎない株主が、経営の頂点にいるのが、企業統治の特色なのである。経済的権利において最下位にいることの対価として最終的な経営権をもつ、あるいは、最終的な経営権を持つことの責任の果たし方として、経済的権利における最下位の地位に甘んじる、これが企業統治の要点である。

では、株主以外の他のステイクホルダーの序列と、その間における利害の調整は、どう考えたらいいのだ。よくわからなくなるのは、いつでも、従業員の地位であり、また銀行の地位である。

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
HC公式ウェブサイト:fromHC
twitter:nmorimoto_HC
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