経済成長の真の障害は何か?

2014年02月19日 18:00

日本の経済成長率は、ここ20年ほど、実質平均0.9%ほどで、これを引き上げようと、財政出動、金融緩和といった政策が総動員されてきた。

最近でも、アベノミクスと言われる、大胆な金融緩和、財政出動、成長戦略を組み合わせた政策が試みられている。しかし、昨年10-12月のGDPは年率換算プラス1.0%成長と輸出の伸び悩みから市場の予測を大きく下回ったことでも分かるように、経済成長は順調に加速しているとは言えない。 

これはなぜだろうか?


経済のパイの大きさが増えない

まず、第一に世界経済のパイの大きさが増えていないことが、原因である。エネルギー消費とGDP成長には非常に強い相関関係がある。 たとえば、原油消費量の伸び(年率)と実質GDP成長率の間には 

   原油消費量の伸び + 1% ≒ 実質GDP成長率(年率)

という関係が良く知られている(たとえば、Oil’s tipping point has passed参照)。

これは因果関係は明らかで、

GDP = エネルギー投入量 × エネルギー効率

と考えてよいからである。

ところが、原油生産量と原油価格の推移を見ると、次のようになっている。

crude-oil-production-vs-price (1)

つまり、原油生産量は2000年に入って、ほとんど伸びていない一方、原油価格は急上昇している。 この中で、新興国が経済発展しているので、先進国(OECD)の原油消費のシェアは、次のように低下している。 

png-large

このように、大きくならないパイを先進国と新興国が分け合い、次第に新興国のシェアが大きくなっているのだから、先進国の景気低迷が続くのである。  

エネルギー価格の上昇と交易条件の悪化

次に、エネルギーの面から、景気低迷の原因を探ってみよう。 エネルギー価格、特に原油価格は上のグラフのように急上昇している(LNGも原油価格に連動しているため、LNG価格も急上昇している)。 そのため、交易条件が悪化しており、国民の所得が海外に流出している:

交易条件

(20兆円超の交易損失とエネルギー(IEEJ)から転載)

このグラフから読み取れるように、2005年を基準にして考えると、2013年の交易損失21兆円の中、6割以上がエネルギーによるものである。 

このように、エネルギー価格の上昇が、国民所得を海外に流出させ、国民の購買力が低下しているのである。 

そして、前記事に書いたように、2020年には、原油価格は、現在の2倍、1バレル200ドル程度になるという予測が、OECD、IMFから出されている。

従って、今後も交易条件は悪化すると考えられよう。   

省エネルギーが必要

こうしてエネルギーという視点から見れば、(1)エネルギー産出が増えず経済のパイが大きくならないために、先進国の取り分が減る、 (2)今後もエネルギー価格は上昇すると見込まれる。 このため、今後、経済成長は極めて困難だと考えられる。

経済成長の障害は大別すると、エネルギー産出の限界、エネルギー価格の上昇といった物理的なものと、新興国との競争の2つである。

残念ながら、金融政策、財政政策、成長戦略は、物理的には何もしていないのだから、状況を好転させることは極めて困難であろう。また成長戦略も効果が表れるまでには、5年程度の時間は必要だろうし、大きな効果は見込めないと思う。

だとすれば、我々がやるべきことは、省エネルギーではないだろうか。車はできるだけ使わない、カーシェアリングをする、公共交通機関を利用する、車からスクーターに変える、スクーターから自転車へ変えるといった省エネ努力が求められているように思うが如何なものだろうか。

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