どうなる、中国の未来(その2) --- 岡本 裕明

2014年02月21日 11:51

科挙、それは中国の歴史の中で最も注目べき社会システムの一つであり、分裂と統合を繰り返した長い国の歴史の中で西暦598年から1905年までと実に1300年以上も続いた官僚登用試験の名前ぐらい聞いたことがある人が多いでしょう。

この科挙制度は人の上に人を作る制度であったといっても過言ではありません。もともとは家柄は関係ないとされたもののその試験勉強のための図書などの費用から裕福な家庭でなくては受験すらままならず、その試験に合格すれば天下を取ったも同然となった社会が作り上げたものは歪み以外の何物でもなかったといえましょう。


その科挙に代わり、共産党員という特権にすり替わったとすれば中国は権力構造を常に維持したい社会体制であるともいえるのかもしれません。共産党という一党独裁が盤石の体制であるのは8000万人以上の党員が広く国民に目を光らせているわけでそれは文化大革命の紅衛兵が人の家の隅々までチェックしていたこととこれまた重なるものがあります。

特殊階級が生み出す世界はしかしながら、矛盾を常に感じ続けなくてはいけません。科挙もその歴史の中では紆余曲折であったし、元の時代には中止されていた時期もありました。文化大革命に至ってはわずか11年で葬り去られたのです。

このスクラップアンドビルドと繰り返す歴史は鄧小平氏が作り上げた「最新型」をバックボーンにして今に至るわけですが、共産党と資本主義の掛け合わせが都市部と農村の格差を生み出し、都市部でも極端な貧富の差が発生したその理由は一種の「特権」という立場が意図的に差別化を生んだともいえます。そのうえ、この国において信用できるものはマネーであり、自分自身しかないとすればその体制は思った以上に脆さがあるかもしれません。

理財商品の行方が極めて不透明になってきた今日、われわれ外国から見ればかつて聞いたことがあるようなあくどいスキームがかの国で横行しているわけで多くの中国人がこの状態が長く続くわけがないと感じているはずです。

今や、理財商品は一種の自転車操業で利益の付け替えで廻している状態にあります。かつての証券会社の「飛ばし」やゴルフ場会員権の預かり資産に手を付けてにっちもさっちもいかなくなった日本のあの時代が中国で今、まさに起こっているとすればその矛盾に亀裂が入るまでに時間的猶予はさほどないでしょう。

しかし、なぜここまで持ちこたえているのか、それは二つの支えがあります。破たんしそうな理財商品が魔法のような資金で生き延びているのは地下マネーと言われてます。そして、なぜ経営者や銀行をはじめとする金融機関が経営の自転車をこぎ続なくてはいけないか、それは会社の息の根が止まった時、その人も裁判で罰せられる社会制度がその怖さから必死の延命努力をしているからかもしれません。

考えてみればこの20数年だけでも90年の日本のバブル崩壊、97年のアジア危機、2000年のインターネットバブル崩壊、2008年の金融危機と欧州危機がありました。だいたい5-7年ごとに何か大きな経済事件が起きているともいえます。更にFRB議長の代わり端にも大きな事件が起きるアノマリーがあります。グリーンスパンとブラックマンディー、バーナンキのリーマン・ショックなどが起きているとすればイエレン議長への試練とは中国なのかもしれませせん。

ところで私は以前、金関連に投資を再開したと書きましたがそれにはもう一つの理由があります。私は中国の金の需要が高まるのではないか、という気がしております。中国の富裕者層は海外にその資産を分散することが今のトレンドとなっていますが、受け入れる国々にとっても中国政府にとってもそれはあまり好ましいことではありません。つまり、いつかは中国マネーが今ほどの自由度をもって海外に向かえなくなる時が来ると思っています。

その時、富裕層は何をし、何を買うのは何でしょうか? タンス預金でしょうか? 米ドルでしょうか? 私は金だと思っています。

事実、2013年の中国国内の金産出量は428トン、香港経由の輸入量が1,108トンに対して販売量が1,176トンであり、360トンも計算が合わないのです。これは政府を含む誰かが蓄財していると考えられ、理財商品のババ抜きゲームから早く脱却し、別の代替金融商品に乗り換えているようにも見えるのです。

理財商品バブルの崩壊そのものはアメリカのサブプライム問題とは違い、中国国内問題に留まるはずですが、世界経済に与える影響はすさまじいはずで例えば中国政府が持つアメリカの国債に不安感が生じれば国債価格への影響は避けられず、円高を招くこともあるでしょう。

われわれはあるかもしれないその日に向けて別の「防災計画と対策」を練っていた方がよい気がします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年2月21日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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