バロンズ誌、IPOの復活とともに強気スタンスを維持 --- 安田 佐和子

2014年02月24日 12:13

バロンズ誌はマーケット欄の「アップ・アンド・ダウン・ウォールストリート」にて、米国株市場で流通する発行済み株式数が減少をたどっていると伝えました。ウィルシャー5000株式指数の構成銘柄も、1998年の夏頃の7562社から1月末時点で3666社(ウィキペディアでは2498社)と、半減しているんです。

背景には

1)過去最大規模の自社株買い

2)M&A、破産の増加

3)銀行による株式発行を通じた資金調達が後退

4)新規株式公開(IPO)を行う企業の減少

5)規制強化と上場コストの上昇

6)プライベ—トエクィティの台頭

が挙げられます。

特に4)について、資金調達額はITバブル崩壊前の1999—2000年で1000億ドルも膨れ上がったものの、崩壊後の2003年には180億ドルへ急減。リーマン・ショック後から回復をたどりS&P500が約30%もの上昇を遂げた2013年でも新規株式上場企業数は230社、規模は618億ドルにとどまっていました。

翻って今年はというと、ディーロジックの調査では年初来で39社がIPOを実施。2007年以来で最高を遂げているんですね。今後も、大型のIPOが続々と控えており、大人気アプリ・ゲームの「キャンディ・クラッシュ・サガ」でお馴染みキング・デジタル・エンターテイメントはニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場を申請。パーティ・シティ・ホールディングなども控え、PEによる利益確保の動きが顕著となり増加の兆しが見受けられています。

キャンディ・クラッシュ・サガ、人気のあまりパンツまで登場!?

candy-crush-saga

(出所 : Businessinsider)

では、今後の米株相場はどうなるのでしょう?

年初来のS&P500は最高値まであと0.7%ながら上げ渋りダウ平均輸送指数は50日移動平均を下回り調整モードな半面、金先物は10.2%の上昇を遂げています。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによる世界ファンドマネージャー調査では、2月時点で現金保有率の上昇を確認。特にアジアでは、中国のシャドー・バンキング問題への懸念からか2003年以来の高水準に達したといいます。

それでもBOAの主席投資ストラテジストは、「キャッシュ保有高が非常に高い水準にあり中央銀行の金融政策があらゆる手段を尽くそうとするときにブル相場は終わらない」と指摘します。

アメリカに限っていえば、米連邦公開市場委員界(FOMC)はテーパリングを粛々と継続するスタンスにあり緩和政策から脱却を試みています。失業率は1月に6.6%と2008年のレベルまで改善してきました。現状でこそ伸び悩む賃金は今後上向く可能性があり、消費者物価指数も1月の1.6%から上昇する余地が出てきます。

エマージング市場、特にウクライナ情勢の政治混乱を懸念するものの同国の国内総生産(GDP)はフェイスブックの時価総額をわずかに上回る約1760億ドル。米国の州でいえばアラバマ州に当たる程度です。

中国は引き続き懸念材料。ハードランディングを見込む声が強まっており、国内総生産(GDP)だけでなく金融投資資産でも日本を超える見通しでも、中国から資金が流出中。MSCI中国指数は2014年利益見通しの7.2倍へ縮小し、MSCIアジア太平洋指数の10.9倍を下回ります。6000億ドル規模を誇るソブリン・ファンドの中国投資有限公司(CIC)すら、エマージング諸国の成長減速を背景に米国の回復に目を移しショッピング・モールなどに投資を進めているといいます。

インフレ上昇局面で恩恵を受ける株式市場は、エマージング諸国不安を乗り越えIPOの増加とともに安泰?バロンズ誌は明確に書いていませんが、そのように読み取れます。

さすが強気派で知られるだけに、ジョージ・ソロス氏がS&P500のプット・ポジションを倍増させたニュースには反応薄ですね。同氏は米株相場の下落に賭け、2013年10—12月期にS&P500のETF(SPY)プットポジションを前期比154%引き上げました。7—9月期の約4億7000万ドルから13億ドル(約1330億円)に増額させ、そのポジションはソロス・ファンドで最大だそうです。

SPYのプット、ヘッジ・ポジションにしてはあまりに大きい規模ですね。

bullionbaron

(出所 : Bullionbaron)

ソロス氏の悲観シナリオは、現状で少数派のようにも見えます。運命の分かれ道は、ソロス氏によると中国。エマージング諸国も懸念材料ながら、中国発のニュースに要注意ですね。

ちなみに「アップ・アンド・ダウン・ウォールストリート」の担当者で共同編集長のロバート・W・フォーサイス氏は今回、お休み。代わりに、シニア・エディターのコピン・タン氏が執筆していました。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年2月23日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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