人手が足りない建設業界は外国人労働者を受け入れるべきか --- 岡本 裕明

2014年03月04日 17:28

建設業の人材不足が顕著になってきています。そのため、工事の遅延は当たり前で新規に発注すらできない状態も顕在化してきています。いくらアベノミクスで公共投資に期待が高まったとしてもある意味、不思議な気がしますが、どういうことなのでしょうか?

日本の建設業は長年その従事者の数で日本最大の産業でありました。90年代はおおむね650万人前後で全就業者数の10%を超えていました。ところがデフレの時代を通じて官民の工事発注量は激減しました。特に官庁の予算減に伴う業界のシュリンク化は多くの上場建設会社の倒産を招き、当然ながら従事する作業員も減り、今日では500万人前後(総務省 労働力調査より)となっています。80~90年代、3Kの仕事と言われながらも賃金の高さが魅力的であったものの仕事量の減少は日当の減少を招き、高齢化も含め建設業は不人気業種の代名詞となり替わったのであります。


政府が公共投資にもっと予算を配分していれば産業が一定の水準を維持できたのに、という嘆き節も今だからこそ聞こえてきそうですが、当時、公共投資を増やすなどという声を上げようものならば気違い扱いも同然でありました。

これは日本の悪いところであるのですが、政策にしろ、ボイスにしろ、社会の動きが実に一方通行でそれ以外の選択肢を意見をすると排除されやすいところがあります。長い目で見て、650万人もいた高齢者も多い建設業を予算カットという形で絞り込めばデフレの一因となることもわかっていたはずです。ですが、そういう声はほとんどかき消されたとも言えるでしょう。

それでも建設会社は歯を食いしばって仕事をしてきました。今でも建設会社の事務所に入れば古びた事務所ビルで座るところが抜けているほど年季の入ったソファー、さらにはスチールデスクが並ぶ事務所の薄汚れた壁には色あせた「節電をしましょう」のステッカーが貼ってある、というイメージでさほど嘘はないはずです。つまり、花形産業とはかけ離れたこの業界をアベノミクスだからと言って突然変異させることは極めて困難であると言わざるをえないのです。

そんな利益が出るか出ないかギリギリのビジネスをしていた業界に突然スポットライトが当たっても対応できるはずはありません。もともと震災復興で人がいないと言われたところに公共投資では建設会社はまた困ることになるのです。なぜならゼネコンの請負契約(General contract)はCM(Construction Management)契約ではないので契約時点の金額で工事を完遂することを確約しています。設計変更は別ですがゼネコンは一般には工期に見合うインフレのリスクを背負っているということになるのです。

ではこの建設業界の苦悩に対して外国人労働者を一時的に受け入れるか否か、いろいろ意見があるようですが、私なりに論理的に考えれば一時的に受け入れるべきであると考えます。

まず、建設業従事者は年齢的原因により漸減しています。この中で、繁忙期に伴う賃上げなどの金銭的インセンティブで一時的な就業者の増加は多少見込めるかもしれません。しかし、建設業が専門工種の塊であることからバランスの取れた従事者増は見込めません。例えば土木と建築は違うし、鉄筋工と型枠工、大工さらには設備工事には水道、電気工事などなど本当に多岐にわたるのです。また、多くの仕事は一定の資格を要するため、工事の発注量に見合う人材の急激な増大は期待できないのであります。

一方、公共工事や民間工事の発注量は景気に左右されます。今は高需要だけど5年後には落ち込んでいるかもしれません。特に日本はインフラ成熟国であることを考えれば労働者については潜在需要とフレックス需要に分けて考え、国家として高齢者から若年層への技術移転を含む労働力年齢の刷新をするべく人数を割り出し、残りの不足労働力は外国からの一時労働力を得る方が効率的になるはずです。

もちろん、外国労働者受け入れ反対派からはとんでもないことだ、とおしかりを受けるかもしれません。ですが工事というのは期待した時期に完成することにより経済効果を発揮するものなのです。予定通り出来ない工事ほど無駄な労力と経済的無駄はないというのが建設会社で20年以上働いた者としての言い分です。

労働力バランスを考えていない今の状態は私は公共工事頼みの経済といわれても実務ではその教科書通りにはならないということをあえて指摘しておきましょう。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2014年3月4日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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