茂木健一郎さん、偏差値と予備校は偉大です(追記あり)

2014年03月10日 07:48

週末、起床すると茂木健一郎氏の偏差値、予備校批判が話題になっていた。ああ、またか。この手の意見というのは、カタルシスにはなるが、若者をまったく救わないのである。


茂木氏による、偏差値・予備校批判はこれらのまとめ、ニュースをご覧頂きたい。

茂木健一郎氏「くされ外道予備校ども、みんなつぶれろ」
http://news.line.me/issue/entertainment/4cd53bb6fc65

茂木氏「くされ外道予備校ども」
http://news.livedoor.com/article/detail/8613697/

茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1189回「ぶっつぶせ、偏差値入試!」 – Togetterまとめ
http://togetter.com/li/639652

なるほど、私が中二病、高二病の頃だったら、熱狂的に支持していただろう。なんせ、私自身、画一的な受験勉強が大嫌いだったからだ。いかにこれをサボって、志望校に現役合格しようかを模索し、実現した。

私の受験に対する想いは2010年の12月に書いた、こんなエントリーを参考にして欲しい。
大学受験のバカヤロー 受験生よ、覚醒せよ!強い受験15のルール+1 – 陽平ドットコム~試みの水平線~http://www.yo-hey.com/archives/51209521.html

とはいえ、今、考えてみると受験勉強をしっかりやらなかったことは、人生の後悔の一つでもある。やはり、基礎学力、反復学習というものは必要だと思うわけだ。

茂木氏のこの手の、教育批判というのは、カタルシスにはなるが庶民は何も救われない。

偏差値「だけ」に追われるのは、くだらない。偏差値「だけ」で大学の価値が決まるわけではない。受験科目や定員と受験者などの関係で不当に高くなることだってあるからだ。大学の価値を構成する要素はこれだけではない。教育内容はもちろんだが、就職に強い(と言うと茂木氏とそのシンパには火に油を注ぐことになりそうだが、実際、大学選びの大事な基準だ)、OB・OGのネットワークが強いなど、大学の魅力はいくらでもある。

とはいえ、偏差値というもので受験する大学の目安がなんとなくわかる、自尊心を満たすことが出来ることもたしかだ。基礎学力を向上させるための励みにもなる。

偏差値はあくまで統計上の手法であるし。

この手のことは常識と感情を手放して考えなければいけない。偏差値が機能「してしまっている」のは、逆に「偏差値が低くても、良い大学」なるものが少ないことを物語っていないか。

大学で講演する機会が多いのだが、結構な有名大学、名門大学に言っても学歴や偏差値にコンプレックスを持っている学生はいる。実際は、偏差値だけではない魅力があるはずなのだが、学生がそれを実感していないのもまた事実ではないか。

次に予備校批判について。

「つぶれろ、駿台、つぶれろ、代ゼミ、つぶれろ、河合塾、つぶれろ、東進ハイスクール、つぶれろ、ありとあらゆる、偏差値を計算する、くされ外道予備校ども、みんなつぶれろ」

というお下品な発言を、ぜひ茂木氏は撤回して頂きたい。

まるで常見陽平か中川淳一郎みたいではないか。

いや、それは冗談だとして、予備校というのは、基礎学力を上げてくれる有り難い教育サービスなのである。教えることに関するプロが、面白い講義、意外にも本質を考えさせる講義をしてくれるところなのである。

大学の講義に失望する若者から「予備校の講義の方が知的刺激に満ちていた」という話をよく聞く。この手の話をすると、「大学の講義をバカにしてくれるな」という話になるのだが、そもそも目的は違うものの、たしかに教えるプロたちがいるし、教材も練りに練られたものである。そして、学びたいという衝動を加速する講義を行っているわけだ。

だいたい、大学の講義は、玉石混交である。学力を上げてくれない。38歳から修士課程に入りなおし、一部の講義は学部生と一緒に受けたが、まあ、残念な教授、講義もたくさんだった。この辺りの話は3月29日(土)にゲンロンカフェで開催するイベントで激白するので、期待して頂きたい。

この手の受験産業が生き残っているのは、それだけニーズがあるからである。

茂木健一郎氏風に言うなら
頑張れ、駿台、負けるな、代ゼミ、つぶれるな、河合塾、生き残れ、東進ハイスクールと、世界の中心で愛を叫びたくなるのだ。

なお「個性」や「人間力」を重視する入試が礼賛する動きには、私はNOと言いたい。これらを磨ける家庭環境の差が物を言うのはどうか。貧しい家庭に生まれた者は、ますます這い上がれなくなる。何より、基礎学力は大事なわけで。

だから、この手の一見すると若者を擁護するような論では、まったく救われないことに、みんな早く気づいた方がいい。



なお、大学生活の現実やそのポイントについては、今月、こんな本を出すので手にとって頂きたい。2010年に出て7刷2万部のスマッシュヒット、ロングセラーとなった本の改訂版である。今の大学生活に合わせて大幅に加筆・修正したし、大学生17名のインタビューが掲載されている。

まあ、茂木さんも私も、偏差値高いんだけどね。

茂木さん、私を嫌いになっても、偏差値と予備校を嫌いにならないでください。

追記 2014年3月10日11時40分
尊敬する先輩 札幌でカフェを経営する藤井さんが、実に読み応えのあるエントリーを書いていました。共有します
茂木健一郎さんが本当に言わなくてはならなかったこと

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常見 陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師

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