イランの「核計画」と「河野談話」 --- 長谷川 良

2014年03月12日 10:29

イランの核問題と「河野談話」を繋ぐものは何か。答えは「検証」だ。両者ともその真偽を詳細に検証することが問題解決の最優先課題だからだ。

国際原子力機関(IAEA)は「2003年以来、イランの核問題では同国の核計画が平和利用を目標としているか、軍事転用の疑いがあるかを査察を通して検証してきたが、「未解決の問題が依然山積している」(天野之弥事務局長)のが現状だ。11年の月日が経過したが、イランの核計画が平和目的かどうかを断言できないのだ。


Concerning safeguards implementation in Iran, the Agency continues to verify the non-diversion of nuclear material declared by Iran under its Safeguards Agreement. However, the Agency is not in a position to provide credible assurance about the absence of undeclared nuclear material and activities in Iran, and therefore to conclude that all nuclear material in Iran is in peaceful activities.
(IAEA3月定例理事会での天野事務局長の冒頭声明から)

一つの事実を追認するためには検証が必要となる。イランがIAEAの検証要求を拒否すれば、欧米理事国は即、「イランは核兵器製造を目指している」と当然疑いをかける。

IAEAとセーフガード協定を締結した加盟国はIAEA側の査察を受け入れなければならない義務がある。「検証はいやだ。自分が提示した情報は間違いない」と主張し、欧米理事国に説明したとしても駄目だ。核問題の専門機関のIAEAの査察による検証が唯一、イランの核計画がクリーンと証明できる道だからだ。

同じことが日本の過去問題を激しく批判している韓国にもいえる。日本政府が、日本軍の慰安婦強制動員を認めて謝罪した「河野談話」と植民地支配と侵略を謝罪した「村山談話」の内容が正しいか、検証する意向を表明した時、韓国は即、「河野談話」、「村山談話」を否定する目的があるとして拒否反応を示してきた。

また、日本側は竹島問題の解決を求めて国際司法裁判所(ICJ)に提訴する意向を示唆したが、韓国は「竹島はもともとわが国の領土だからその必要はない」と説明し、司法裁への提訴に応じない意向を表明してきた。韓国側はここでも第3者による「検証」を拒んでいる。

「河野談話」とは、「慰安所は当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」と記述されている内容だ。

宮沢改造内閣の河野洋平内閣官房長官が1993年8月発表した談話だ。慰安婦問題では常に引用される。その真偽は日本国民の名誉にもかかわることだ。中韓両国の激しい反日攻撃にさらされる日本が検証を求めたとしても不思議ではない。

日本側の検証要求に対し、韓国の中央日報は先月22日、「『河野談話』否定は韓日関係を破綻させる」という社説を掲げて日本側の検証への試みを批判している。

事実を追求すべきメディア機関が事実の検証という基本的な作業を拒否しているのだ。これでは韓国側が常に主張する「正しい歴史認識」は到底実現されない。

日本側の検証で「河野談話」の内容が正しく、慰安婦へのインタビューの内容にも間違いがないことが追認されれば、日本側は心から謝罪表明しなければならない。だから、韓国側としては終わりのない論争を繰り返すより、日本側の検証作業を支持し、可能な限り連帯したほうが賢明ではないか。

イランの核問題でも明らかのように、テヘランが検証を拒否すれば、国際社会は当然、その核計画に疑いを抱く。韓国の場合、「河野談話」の検証要求を批判し、竹島問題の司法裁への提訴を拒否すれば、韓国側の主張が間違いであり、その証拠文献が疑わしいのではないか、と受け取られることになる。韓国側にとっても不利だ。

韓国は自身の主張が正しいと確信しているならば、日本側の検証要求を本来、歓迎すべきだろう。「検証」作業には時間がかかるが、「検証」はその真偽を確認するうえで避けて通れないプロセスだ。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年3月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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