フランシスコ法王には「敵」が多い --- 長谷川 良

2014年03月18日 10:49

ローマ・カトリック教会の最高指導者、ローマ法王フランシスコは3月13日で法王就任1年目を迎えた。南米教会初の法王フランシスコは気さくな振る舞い、明るさで世界の信者たちに人気が高い。順調なスタートを切ったわけだ。

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▲ローマ法王暗殺の危機を記述した新著「ローマ法王フランシスコ、ローマ司教」


フランシスコ法王は昨年4月、8人の枢機卿から構成された提言グループ(C8)を創設し、法王庁の改革<使徒憲章=Paster Bonusの改正>に取り組んできた。

イタリア司法当局からマネーロンダリング(不法資金の洗浄)の容疑があったバチカン銀行の刷新のため監督省を設置する一方、トップ人事を実施した。また、聖職者の未成年者への性的犯罪防止にも積極的に取り組む姿勢を示している。今後は聖職者の独身制の廃止、離婚・再婚者へのサクラメント問題にも何らかの改革が実施されるのではないかと期待されている。

ところで、オーストリアの著名な神学者、パウル・ツーレーナー(Paul Zulehner)教授が昨年、「カトリック教会内の根本主義者らによるフランシスコ法王の暗殺計画が囁かれている」と警告し、関係者を驚かせたが、今度は著名な高位聖職者、ヨアヒム・アンゲラー元修道院長(Joachim Angerer)が今春に出た新著「ローマ法王フランシスコ、ローマ司教」(ペーター・シュテフェン氏との共著)の中で、「法王暗殺の危険性がある」と同じように警告を発しているのだ。

ツーレーナー教授もアンゲラー元修道院長もセンセーショナルな話題を売り物にするジャーナリストではない。バチカン内部情報に通じた教会関係者であり、専門家だ。その両者が法王暗殺の危機を同じように警告しているのだ。

新著によると、現在の政治・社会、経済システムをパサッと切り捨てるフランシスコ法王には敵が多いという。例えば、法王は昨年5月、説教の中でマフィアに対して挑戦を宣言している。シチリア系マフィアはバチカン銀行の刷新に乗り出した南米出身の法王を「われわれの領域に侵入する者」として敵意を感じているという。ちなみに、シチリアの聖職者が1993年9月15日、自宅でマフィアに射殺されたことがある。

教会内の一部の保守派聖職者たちは、清貧を提唱し、贅沢を戒める法王に対し「自分たちの権限が脅かされる」と感じている。法王がイスラム教徒との和解を進めることも保守派にとっては面白くはない。 
 
ローマ法王は法王宮殿に居住せず、ゲスト・ハウスで寝泊まりを続けている。記念礼拝では信者たちとのスキンシップを重視。法王の車(Papamobil)の窓を開け、信者たちに手を振り、時には車を止めて信者たちと語り合うのを好む。法王の警備に当たる関係者にとっては頭が痛い。実際、来月聖人に列聖されるヨハネ・パウロ2世は1981年5月13日、サンピエトロ広場でアリ・アジャ(Ali Agca)の銃撃を受け、大負傷を負ったことはまだ記憶に新しい。

フランシスコ法王自身も既に暗殺未遂に遭遇している。法王が昨年7月末、ブラジルの首都リオデジャネイロで開催された第28回青年カトリック信者年次集会(ワールドユースデー)に参加するためブラジルを訪問した時だ。説教予定の礼拝堂で爆弾が発見され、爆発前に点火装置が外され、法王は難を逃れたという出来事があった。誰かがフランシスコ法王の命を狙っているのだ。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年3月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。


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