底辺労働の需給バランスが崩れつつあるのか

アゴラ編集部

昨日の当コーナーでスギの植林の30年後に花粉症が増加した、というようなことを書いたんだが、団塊ジュニアのベビーブームは1970年代前半です。彼ら、今の年齢は40代前半でしょうか。この世代の人口は200万人以上いる。ちょうど働き盛りの年代で人手が余っているわけで、彼らが若年層の労働市場を奪っています。


そんな若年層の仕事先は不安定です。バイトやパート、非正規社員も多い。労働力のバッファになっている側面もあるんだが、消費税の「駆け込み需要」とか、いわゆる「アベノミクス」による景気の梃子入れで公共事業が増えたとか、被災地の復興に人手を取られているとか、団塊ジュニアの親の世代が一斉に現場から引退しているので熟練工不足だとか、年度末だとか、学生バイトの入れ替え時期とか、いろんな理由で一時的に引っ張りダコのようです。

この影響が、色んなところに短期的に噴出しているのか、デフレの象徴であるファストフードチェーンで、働き手が見つからない、といったウワサも出始めています。たとえば、牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングスは、このかき入れ時に少なくない数の店舗を閉めているらしい。3月23日の日経電子版によれば、ゼンショーホールディングスが「すき家」の約半分を改装リニューアル中だそうで、同社広報部も同じコメントをあちこちに出しています。

公募増資で調達した267億円をリニューアルに当てているようなんだが、4月1日からの消費税導入に合わせて牛丼を値下げするため、客が増えるから、というのが理由とのこと。本当でしょうか。「すき家」といえば、いまだに減少しない深夜強盗のターゲットとしても有名です。深夜の人気のない時間帯に少人数で営業させる業態が原因。同チェーンが人手不足だというウワサも、こうした労働環境に加え、新メニューの「牛すき鍋定食」に手間がかかり過ぎ、スタッフがサボタージュして「反乱」を起こした、というネット上の情報が背景にあります。

大手牛丼チェーンの競争は過酷です。消費税の増税でさらに矛盾が出てくるでしょう。そのシワヨセがどこに来るのかは自明。しかし、折しも少子高齢化で人手不足が深刻化しています。そのわりに賃金が上がらず、低賃金の若年層は食事にコストをかけられません。一方でファストフードチェーンも客の嗜好も多様化し、牛丼屋は牛丼だけ出していればいい、というわけにもいかなくなる。「牛鍋系」メニューは「すき家」に限ったことじゃないんだが、あれをつまみに客が酒でも飲んだ日にゃ長い時間、居座られてしまいます。

マニュアルに沿って作れば誰でも厨房に立てる、というのがファストフードチェーンのキモです。その分、労働コストを下げられる。しかし、簡単な仕事内容だからこそ、安いバイト代でも働き手があるわけで、使われる側も労働と賃金のバランスを厳しく見極めています。ちょっとでも待遇がいい店があれば、すぐにそこへ移る。日本中にファストフードチェーンが増えたせいで、労働力はすでに需要過多、というわけです。これで配偶者控除がなくなるとどうなるか。女性はますます自宅で料理を作らなくなり、外食や中食が増え、底辺労働の需給バランスが崩れていくでしょう。

とある青二才の斜方前進
すき家の「人手不足閉店」はなぜ起こったのか?


Wealthy Toyota Prius Owners are Switching to Tesla’s All-Electric Model S
inhabitat
米国の富裕層がテスラを選ぶ、というのは安田佐和子氏の論考でも紹介されていたんだが、この記事によれば彼らはトヨタのプリウスから乗り換えているようです。実に15.5%も移動しつつあるらしい。富裕層のガレージにはすでにポルシェやフェラーリなどがあり、乗り換える対象としてテスラのほうが彼らにふさわしい、と考えているからだそうです。日本の自動車メーカーも富裕層相手には、こうしたテイストで対抗しないとダメ、という話です。

「ほえほえくま」等にみる日本の萌え力と「闇」
政治学に関係するものらしきもの
日本人、というのはかなり長い間、戦乱とか内乱とか闘争、といったことと無関係に生きてきました。もちろん、日常生活の軋轢とかイジメとか、その代替として悪化激化してるわけなんだが、どうも無邪気というか、問題の深刻さに向き合わない、というか、是々非々が過ぎる、というか、なんでもかんでも「かわいければいい」と単純化したがる傾向にあるようです。台湾の議場選挙やクリミア問題も、大変なのはわかるがそれはそれ、かわいいものはかわいい、と話題になってネット上で盛り上がったりする。世界から眺めるとちょっと異様な感覚で、やはり日本人は理解できないわ、と言われる原因なのかもしれません。

中途採用という諸刃の剣。新卒採用の数年間は転職を思いとどまるべき?
ビーカイブ
企業側にとって都合のいい解釈は、働き手にとって迷惑なことはたくさんあります。会社とサラリーマンは同床異夢。雇用の流動化が必要なのはわかるんだが、雇用状況はあまり変わっていません。というより、雇用側にとって便利で有利な状況になりつつある。転職してキャリアアップできる人は少ない。中途採用への多種多様な区別や差別は企業社会に依然として残っています。マスメディアでは、転職や起業なんかをもてはやしていたりするんだが、それにダマされてはいけない。一度、入社したら自分のスキルとポジション、価値、自信を高められるまで、会社を十二分に利用しつつ、給料をもらいながらしがみついていたほうが得です。

Google Turns Down Military Funding For Its Scary, Powerful Robots
BUSINESS INSIDER
ここんところロボット開発企業のM&Aに余念のないGoogleなんだが、これは、米国政府の軍事研究機関、DARPA(ダーパ、国防高等研究計画局、Defense Advanced Research Projects Agency)との競合がある、という記事です。Googleが買収したBoston Dynamics社と日本のSchaft社は、DARPAから資金援助を受けている。Boston Dynamics社は1080万ドル(約10億円)、Schaft社は260万ドル(約2億7000万円)もらってるらしい。で、Googleが買収したことにより、DARPAから資金援助を断ることになります。これがGoogleによる、Googleのロボット研究は軍事技術に転用しない、というアピールなのか単なるポーズなのか、まだちょっとわかりません。


アゴラ編集部:石田 雅彦