モンゴルが画策する東アジアでの影響力

アゴラ編集部

先日の大相撲、春場所で初優勝を決めた東大関「鶴竜」が横綱に昇進しました。3人の横綱は11年ぶりとなるんだが、この3人ともモンゴル出身力士、ということで日本人としては複雑な気持ちです。冷戦終結で民主化が進むモンゴルから、若者たちを角界へ連れてこようと発案したのは、元小結の旭鷲山がかつて所属し、まだ現役の旭天鵬らが活躍する大島部屋の二代目大島親方(元旭國)。1992(平成4)年、外国人力士の受け入れに拒絶反応があった角界を説得し、自らモンゴルへ出向いてモンゴル相撲から有望な若手をスカウトしてきました。


その元旭鷲山は現役を引退し、母国モンゴルへ帰って政治家へ転身しました。今ではエルベグドルジ大統領の側近だそうです。北朝鮮に娘を拉致された横田夫妻が孫娘とモンゴルで面会したんだが、このお膳立ては2013年9月にエルベグドルジ大統領が来日した際、安倍首相に提案したのが発端だったそうです。横田夫妻は、北朝鮮に政治的に利用されることを怖れ、孫娘との面会を固辞してきたらしい。この「面会劇」の背景については、モンゴルのポジショニング、北朝鮮の戦略、米国の後押しがあった、などいろいろなことが取り沙汰されています。

北朝鮮の総聯ビル入札問題でもモンゴルの「ペーパーカンパニー」が暗躍したんだが、この動きもエルベグドルジ大統領の来日と前後しています。モンゴルは北朝鮮とも国交を樹立し、全方位外交を展開している。日本からの経済援助を引き出す手段としても、また東アジアでの存在感を増すためにも、北朝鮮と各国との橋渡しの役割を演じたがっていると考えられます。日本としても、対中国や対ロシアの外交戦略において、モンゴルの地政学的なポジションは無視できなくなりつつある、といったところでしょうか。

横田夫妻の孫娘との面会をお膳立てしたのは、元旭鷲山のダワーギーン・バトバヤル氏だった、という話もあります。また、朝鮮総聯ビルの落札に名乗りを上げたのはバトバヤル氏と関係する企業だった、という説も浮上しました。バトバヤル氏はかつて、相撲稽古の過酷さや慣れない生活習慣に音を上げ、大島部屋から脱走して渋谷にあるモンゴル大使館へ駆け込んだことがある。そのころに相撲界に身を置きつつ、モンゴル政府筋との関係ができたようです。

相撲界に「君臨」するモンゴル力士集団から、こうした「外交の橋渡し」役が出現するのも不思議なんだが、もう一人のモンゴル人力士、元朝青龍、ドルゴルスレンギーン・ダグワドルジ氏のほうは実業家として活動しているようです。しかし、現役時代の旭鷲山ことバトバヤル氏と確執があったためか、今ではあまり消息が聞こえてこない。モンゴルの現政権では、とりわけ日蒙関係においてバトバヤル氏の一人舞台のようです。

田崎正巳のモンゴル徒然日記
クリミア半島の影響?


23 Utterly Unique Japanese Houses That Destroy Conventional Thinking In The Best Way
DISTRACTIFY
「木と紙の家」とか「ウサギ小屋」などと揶揄された日本の一般住宅なんだが、スクラッチ・アンド・ビルドの典型で建てては壊し建てては壊し、を繰り返します。こうした考えは、地震や台風などの天災が影響しているんでしょう。苦労して家を建てても、地震が起きれば一瞬で瓦礫になる。だからこそ、自分の家に遊び心を取り入れる人もいる、というわけ。この記事では、日本のユニークな住宅を紹介しています。六本木ヒルズの「クモ」のような細い足の生えた家を建てた建築家の藤森照信氏によるものもある。空中に浮かぶような不安定な居住空間は、ヒトの心をざわつかせます。このナンバー17は、浅草のアサヒビールのオブジェ、通称「黄金のウンコ」。一見すると明らかに排泄物なんだが実は「炎」です。本来はもっと尻尾が立ってた。建築法で立てられなかったらしい。建築中の西新橋、昔の田村町、新日石ビルの前に立ってたプロメテウスの像の炎もおかしかった。あの像、今では大手町へ「遷座」されたようです。

20年間無敗の伝説の雀鬼・桜井章一に学ぶ夫婦とは何か?
まつたけのブログ
麻雀、という娯楽の何が問題かと言えば、4人いないとゲームにならない、ということでしょう。サンマといわれる3人麻雀も無理にやろうと思えばできるんだが、やはり東南西北がそろわないとつまらない。それが今の時代、流行らない大きな理由です。で、麻雀はほかの3人が相手なので、駆け引きとか押し引きの呼吸が重要。という当方は、まったく弱い。でも、強い人は強いです。この桜井氏は「雀鬼」とも呼ばれる伝説の「名人」。もう70歳なんですね。しかし、強気で攻めて振り込まない、というのは「運」だけではなさそうです。このブログで紹介している桜井氏のエピソードを読むと、自分から「悪運」をつかみ、しかもそれを「幸運」に変えてしまうことが重要なのかも、と思います。ようするに、ものは考えよう、ということ。麻雀の上がり手は無数にある。配牌でメゲてたら「おもしろく」ないでしょう。

「匂う」FCV用燃料をカリフォルニア大学が開発
clicccar
エネルギーには「インフラ」が必要です。我々が使っている電気エネルギーも、発電所だけで送電線網がないと使えません。ガソリンエンジンにしても、あちこちにガソリンスタンドがないとダメ。灯油ストーブも同じです。何もないところからエネルギーはわいてきません。EV(電気自動車)にしても充電所がないことがネック。FCV(燃料電池車)も同じです。水素が必要になるんだが、水素スタンドというインフラがないと使えません。この記事で紹介されている「匂い」つきの燃料の意味は読んでみるとわかります。

British Long-Tailed Tit to Become ‘Climate Change Winners’, Scientists Discover
INTERNATIONAL BUSINESS TIMES
英国をはじめ、ヨーロッパに広く分布するエナガ(Long-tailed Tit)という、スズメに似た小鳥がいます。春先の今頃、つがいを形成して巣を作り、卵を産んで雌雄で育てる。留鳥なんだが、寿命は平均2、3年らしい。日本にもいます。越冬できずに死んじゃう。この記事では、温暖化の気候変動でエナガの生存率が上がる、と書いています。環境変化は生物にとって死活問題。しかし、エナガにとっては悪くないようです。


アゴラ編集部:石田 雅彦