マレーシア機は「吠える40度」に消えたのか

アゴラ編集部

南半球の海洋についての表現には「吠える40度、狂う50度、叫ぶ60度(The roaring forties, the furious fifties, and the screaming sixties)」というものがあります。地球の高空圏にはジェット気流と呼ばれる偏西風が吹いているんだが、北半球でも南半球でも西から東に吹いています。

ただ、北半球のジェット気流は地形の影響を受けて蛇行し、陸地の少ない南半球ではほぼ直進しています。これにより、地表面海表面でも南半球では強風が吹き、海が荒れる。「吠える40度」というのは、そういう表現であり、とりわけ南インド洋の海は吠えまくるようです。


で、いまだに発見されないマレーシア航空370便なんだが、衛星の探査などにより、少しずつどこに向かったのかわかってきたようです。オーストラリアの西端にパースという街があります。どうも、その南西の洋上に落ちたらしい。衛星からの画像で、そのあたりの海面に多数の漂流物が確認された、ということです。

ただ、南半球は冬に向かう季節でもあり、ちょうど「吠える40度」のあたりでもあり、天候も悪く、なかなか漂流物を実際に拾い上げて調査する、というわけにいかない。悪天候で船が近づけず、パースの飛行場から哨戒機などが往復するのにも燃料の面から限界があるようです。南極に近い南インド洋上には、ポルトーフランセ(Port-aux-Francais、「c」はセディーユ)というフランス領の島嶼部があるんだが、ここに滑走路はありません。

そんな中、オーストラリア当局が、漂流物を回収した、と発表しました。この物体が、同機のものかどうか、まだ不明。南インド洋には、漁業関係の漂流物も多いらしい。確認が急がれるんだが、いわゆる「ブラックボックス」と呼ばれるボイスレコーダーとフライトレコーダーの位置発信電源は約1カ月で切れます。2014年3月8日に消息を絶ったので、そのタイムリミットも近づいています。

いったいどうして同機が失踪したのか、についてはこれまで多種多様な推理が出ています。表題ブログでは、CNNあたりに出ていたパイロットの推理を紹介。コクピット下部のランディングギアあたりで火災が発生し、その消火活動で連絡ができず、パイロットや乗員乗客らが火災や呼吸系で意識を失い、オートパイロットで飛行を続け、そのままインド洋上へ向かった、というものです。

ただ、火災発生ではまず地上へ緊急連絡するはずなので、ちょっと考えられないのでは、と思います。元の記事では、確か火災により無線設備もダメージを受けた、という推理も入っていたと記憶しているので、そのほうが説得力がある。いずれにせよ、地球というのはまだまだ広いんだな、と実感します。

ところで、南半球の偏西風は、帆船時代の輸送に大きく貢献していたそうです。カティサークとサーモピレーで有名なように、19世紀にはアジアから紅茶を英国などへ運ぶ帆船同士の競争が激化したんだが、彼らはこの偏西風を利用した。また「吠える40度」あたりの強風は、逆に東へ向かう際に使ったらしい。今でもヨットなどでの世界一周航海では、悪天候にもかかわらず、このあたりを航行するようです。

Passion Fruit ─情熱の果実─
マレーシア航空機の墜落地点


政治家と金─みんなの党渡辺喜美の資金源だったDHC会長吉田嘉明会長─
社会科学者の随想
もらいたい側がいれば、あげたい側もいます。贈収賄、というのは、何らかの利害と利権が一致したところに生まれる。役人のためだけにある必要のない「規制」を緩和したほうがいいのは確か。しかし、国民の安心安全に関する「規制」をなんでもかんでも緩和してはいけません。医薬品の研究開発や販売は、役人が常に目を光らせていなければいけない分野です。厳しい規制があっても、これまで数多くの薬害事件が起きた。医薬に限らず、ある特定の業界や企業のビジネスのために「規制」のハードルを低くしたり、「規制」自体を撤廃させようという動きは常にある。DHCの会長がどうして政党の代表に金を貸したのか、と言えば、いくら「個人的な借用」と言い張っても無理があります。出すほうにしても同じ。このブログでは、この問題に関して積極的精力的な朝日新聞と中庸な読売新聞、やけにあっさりした日経新聞を比較しています。経団連御用達のマスメディアは、特定業界や企業の要請で「規制」を緩和するのには寛容なようです。

博士論文とは単なる「世界一の成果」ではなく、後世に知の体系を伝えること
Takeuchi Laboratory
やはり「博士号」を取るためには、表面的な成果や業績だけではダメ、というわけです。2005年あたりから文科省の指導もあり、日本の大学が博士号を乱発し、そのころから問題になり始めていました。とりわけ文化系でその傾向が強く、いわゆる「論文博士」が急増。博士論文自体の質の低下が嘆かれていました。「小保方問題」もこうした背景があるのではないか、という人もいます。このブログは、アゴラの夏合宿へも講師として参加された中央大学の竹内健教授が書いています。同教授がどうやって論文を書いたのか、よくわかる。たとえ「世界一」のデータを持っていたとしても、それだけで博士号は取れない。いわんや、ノーベル賞をや、というわけです。

スキー・スノボ人口が20年で6割減! 選手も懸念する、先細りと対応策。
Number Web
この10年で、ウィンタースポーツをやる人口が激減、という話です。こうしたレジャーが単なる「ブーム」だったのかどうか、ちょっとわかりません。バブルのころは、安倍首相とも大学で一緒だったという「ホイチョイ」系の「仕掛け」が蔓延ってました。映画『私をスキーに連れてって』なんかが代表的。深夜のスキーバスで東京駅前あたりからスキー場へ行くわけです。ゴルフほどじゃないんだが、ウィンタースポーツはそれなりに金がかかる。クルマ離れと同じで、若者たちに金がなくなった、というのが大きいんでしょう。海外から客を呼んでスキー場やスノボ場がなんとか保ったとしても、日本の若年層がわざわざ寒い季節に寒い思いをしに遠くへ出かけていくかどうかは微妙です。

欧州のロシア依存度
治大国若烹小鮮 ─ おがた林太郎ブログ
クリミアの住民投票による決議を背景にして、ロシアがクリミアを編入したわけなんだが、国連ではこれは国際条約に反するものとして認めないことになりました。米国やEUはクリミアが属していたウクライナをロシアから離反させようと画策し、反政府勢力を焚きつけてエジプトと同様に選挙で成立した政権を打倒。反ロシア暫定政権を樹立させました。国連での採択もこの暫定政権からの訴えを受けたもので、そもそもこの政権に正当性があるかどうかは疑問。ただ、EU、とりわけドイツなどはエネルギーをウクライナ経由のロシアからのものに依存しているので、あまり過激な抗議もできない事情がある。このブログでは、EU各国がどれくらいロシアにエネルギー依存しているのか、紹介しています。当然なんだが、距離的に遠かったり、英国など海で隔てられた国は低い。米国なんかが何か言うのは、ちょっとお門違いのような気がします。


アゴラ編集部:石田 雅彦