興味ある会社の株主総会に行こう --- 山口 俊一

アゴラ

12月決算の某上場企業の株主総会に行ってきた。ここは日頃から注目している会社だったので、昨年12月に最低限の株を買って、株主になった。

自分の仕事にも関連する業界でもあり、大いに刺激を受けて帰ってきた。

株主総会は通常、決算月の翌々月に開催される。12月決算なら3月、3月決算なら6月だ。


私は以前より、顧客企業の経営者にも関連する業界企業の株主総会への出席を勧めてきた。自社が非上場であっても、同業の上場企業の業績状況や経営方針を、直接経営者の口から聞くことは先行企業の動向を知ることができるし、自社事業へのヒントにもなる。自社が上場企業であれば、それらに加えて、株主総会の雰囲気や運営の仕方なども学習できる。

もちろん、同業に限らず、興味のある会社でよい。最近は最低投資金額が下がっていることに加え、ネット証券であれば手数料も数百円。今年から導入されたNISAの枠を使えば、値上がり益に対する税金も払わなくて済む。安いところなら、数万円で株主になれる。

さて、今月3月は、上場企業決算の集中月。

たとえば、金融に興味があるなら、

・三菱UFJフィナンシャル・グループ 約6万円
・みずほフィナンシャル・グループ 約2万円
・野村ホールディングス 約7万円

音楽好きなら、

・エイベックス 約18万円
・オリコン 約5万円
・日本コロムビア 約7万円

くらいで最低単位の株主になれる。

配当金ももらえるし、株主総会に行けば、お土産をもらえたり懇親会で食事が出たりするところもある。

ずっと保有する気がなければ、株主の権利確定後、売却してもいい。

ちなみに、今年の3月決算企業の権利確定日は、3月26日の水曜日。極端に言えば、26日に買って、27日に売っても、ちゃんと株主総会の案内が届くことになる。その間の値動きによってはいくらか損をするかもしれないが、株主総会の参加費だと思えば、ガマンできる範囲だろう。

上場企業の本社は東京に多いため、主要企業の株主総会は東京周辺に集中する。そこで、地方在住で「東京まで行くのはちょっと」という人は、地元本社の会社の中から選べばいい。

たいていの人は、株主総会に出席すること自体が珍しいので、非日常を体験するだけでも値打ちがあると思う。普段から知っている会社の社長や会長が、目の前でしゃべってくれる。しかも、最低限の株数であっても株主として、当日は丁重に扱ってもらえる。

まあ、一生に1回くらい経験しておいて損はない。

ただし、そんな株主ばかり増えれば、手間ばかりかかって、上場企業にとっては迷惑な話ではあるが。

山口 俊一
株式会社新経営サービス
人事戦略研究所 所長
人事コンサルタント 山口俊一の “視点”