ソメイヨシノは満開にコストをかけて大きなリターンを得る

アゴラ編集部

関東南部ではボチボチ、桜も散り始め、葉桜になりつつあります。今週初めにグッと冷え込んだので、少しは長持ちするかと思っていたんだが、こぼれ桜、桜吹雪も見納めといった風情になります。

一斉に咲いて満開になり一斉に散る桜の様子は、日本人の精神性にもたとえられているんだが、これはソメイヨシノ(染井吉野)が「クローン」だからこそです。全国のソメイヨシノは遺伝子が同じなので、花が開花して散る生態も同じ。だから同時性がある、というわけです。


ソメイヨシノは、江戸時代末期、ほとんど幕末のころ、植木屋が多かった江戸の「染井」という在所から苗木が売り出されたのが最初らしい。枝にたくさん咲いて美しく、また生育も難しくなく早く育つので、その形質を保つため、一本の元木から接ぎ木されて全国に広まった、と言われています。

エドヒガン(母種)とオオシマザクラ(父種)の交配によって作られたソメイヨシノ。遺伝子解析によれば、全国のソメイヨシノはほぼ同一の遺伝子によるクローンであり、「染井」とヤマザクラで有名な奈良県の「吉野」が合体したのが銘々の由来です。ちなみに「染井」というのは、今のJR駒込駅の内側、旧日光街道を挟んだ六義園(柳沢吉保の下屋敷)の向かいあたりになる。そういえば六義園の「しだれ桜」も有名なんだが、あれはエドヒガン系のようです。

生物には、一種のコストとリターンの「経済学」があります。子孫を残すため、エネルギーをかけ過ぎるとムダになり、いずれはその種は衰退していくでしょう。タラコなんかはうんざりするほどツブツブの卵があるんだが、タラはたくさん生んで生き残る確率にかける戦略。ヒトの子はほぼ一人ずつ生んで一人ひとり大事に育てます。

ところが、ソメイヨシノは自家受粉できないクローンなので、あれほどたくさん咲いていてもソメイヨシノ同士で実はつけません。もちろん、近くに母種のエドヒガンや父種のオオシマザクラなど、別の品種が植わっていればソメイヨシノも実をつけるんだが、その実から種を取って育ててもソメイヨシノにはならない。

ようするにソメイヨシノは、日本人に愛されて鑑賞され、日本人と「共生」することで、これほど広く自分のクローンを増殖させることができた、というわけです。ソメイヨシノのあの膨大な量の花を眺めるたびに、これほどコストをかけていったいどれほどリターンが期待できるのか、と疑問だったんだが、イヌやネコの品種と同じで人為的に作られたクローンだった、というのが理由なんでしょう。

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アゴラ編集部:石田 雅彦