IMF世界経済見通し ─ 米は据え置き、日露は下方修正 --- 安田 佐和子

アゴラ

国際通貨基金(IMF)は8日、最新の世界経済見通し(WEO)を公表しました。2014年の世界経済の成長率見通しは3.6%と1月時点の予想3.7%から下方修正しています。2015年については3.9%で据え置きでした。

国・地域別でみると、米国は2014~15年ともに見通しを維持。IMFのオリビエ・ブランシャール調査局長をして「米国の回復は先進国でもっとも力強く、世界をけん引している」と言わしめていました。

ブランシャール局長、主任エコノミストです。

Portrait-of-Olivier-Blanc-010

(出所 : The Guardian)

ユーロ圏については、年末までのデフレ・リスクを「20%」とにらみながら2014~15年ともに小幅に上方修正しています。反対にアベノミクスの3本目の矢が立ち行かない日本は、2014年を下方修正しました。

ウクライナ情勢緊張化の余波から、ロシアは2014~15年そろって引き下げています。ロシアとともにBRICsの一角を担うブラジルの見通しも2014~15年とも引き下げたほか、南アフリカやトルコも成長率予想をそろって下方修正しました以下は、世界経済見通し改訂版で、()内は前回の数字です。

2014年成長見通し

世界経済→3.6%(3.7%)

先進国→2.2%(2.2%)

米国→2.8%(2.8%)

ユーロ圏→1.2%(1.1%)

独→1.7%(1.6%)

仏→1.0%(0.9%)

伊→0.6%(0.6%)

西→0.9%(0.6%)

日本→1.4%(1.7%)

英国→2.9%(2.5%)

カナダ→2.3%(2.2%)

新興工業国→4.9%(5.1%)

中国→7.5%(7.5%)

インド→5.4%(5.4%)

ASEAN5ヵ国→4.9%(5.1%)

ブラジル→1.8%(2.3%)

メキシコ→3.0%(3.0%)

ロシア→1.3%(1.9%)

2015年成長率見通し

世界経済→3.9%(3.9%)

先進国→2.3%(2.1%)

米国→3.0%(3.0%)

ユーロ圏→1.5%(1.4%)

独→1.6%(1.4%)

仏→1.5%(1.5%)

伊→1.1%(1.1%)

西→1.0%(0.8%)

日本→1.0%(1.0%)

英国→2.5%(2.2%)

カナダ→2.4%(2.4%)

新興工業国→5.3%(5.4%)

中国→7.3%(7.3%)

インド→6.4%(6.4%)

ASEAN5ヵ国→5.4%(5.6%)

ブラジル→2.7%(2.9%)

メキシコ→3.5%(3.5%)

ロシア→2.3%(2.5%)

2013年成長率

世界経済→3.0%(3.0%)

先進国→1.3%(1.3%)

米国→1.9%(1.9%)

ユーロ圏→マイナス0.5%(マイナス0.4%)

独→0.5%(0.5%)

仏→0.3%(0.2%)

伊→マイナス1.9%(マイナス1.8%)

西→マイナス1.2%(マイナス1.2%)

日本→1.5%(1.7%)

英国→1.8%(1.7%)

カナダ→2.0%(1.7%)

新興工業国→4.7%(4.7%)

中国→7.7%(7.7%)

インド→4.4%(4.4%)

ASEAN5ヵ国→5.2%(5.0%)

ブラジル→2.3%(2.3%)

メキシコ→1.1%(1.1%)

ロシア→1.3%(1.5%)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2014年4月8日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。